池袋ジェイズ・バー96ネヴィス祭(03)
2月23日(木)
本日より第3回 96ネヴィス祭が始まります。
前回はシェリー・バットを2種。今回はHogsheadとEX-Bourbonということで、どちらもバーボン樽系という認識でいいでしょう。
前回の記事でもお話ししましたが、2019年頃まではバーボン樽系のシンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィスらしいフルーティを感じさせるものが好きでした。
当時の個人的な思い込みをお話しさせていただくなら、バーボン樽系の96ネヴィスのひとつのピークは2019年まで。2020年になると構成要素の複雑さを手に入れることでかえって雑な印象を感じることも多くなって来ました。
もちろん、単純に「ハズレの樽」で熟成されたということもあったかもしれません。
さて、今回選んだのはリストNo.12とNo.21。
ベン・ネヴィス 1996 − 2019 19Yo
Rudder / Art Session
Hogshead , Cask No.1608 , 51.1%
ベン・ネヴィス 1996 − 2020 22Yo
Sansibar / The Clans Label
EX-Bourbon , Cask No.282 , 43.9%
アート・セッションの96ネヴィスがリリースされたのは、2019年も暮れのことだったと思います。個人的に好きなタイプのホグスヘッドの96ネヴィスと感じました。
ただ、僕が2018年頃まで好きだった96ネヴィスもこれから少しづつ変わっていくのだろうという予感がしました。それに気付かせてくれたのがアート・セッションの96ネヴィス。僕のレイティングは88点というところだったでしょうか。
ザンジバーの瓶詰めは2020年。この頃になると96ネヴィスも玉石混合といった様相になったかと思います。ネヴィスといえば96ヴィンテージという認識が十分に広まったこともあるでしょう。
各社96ヴィンテージのネヴィスの瓶詰めを求め奪い合いとなったのかもしれません。96ネヴィスに限った話ではありませんが、価格の高騰が肌身に感じられ始めた頃だったでしょう。
ザンジバーの僕の当時のレイティングは80点といったところでしょうか。2019年頃までは構成要素のシンプルな伸びの良い96ネヴィスを求めていた僕ですが、2021年頃からはボリューム感のある素敵な96ネヴィスが出始めたと感じて認識を改めました。
はっきりした境目がある訳ではありませんが、2018年頃には少なくない飲み手は「96ヴィンテージ」という認識を持ち始め、2019年はバーボン樽系が「ひとつのピーク」。2020年は「玉石混合」。
時系列を追ってざっくりした濃淡を付けるとそんな印象があります。
ただ、2021年を過ぎると十分な熟成感を愉しめるようになり、それによって複雑な構成要素を手に入れ始めた様子を感じられるものが散見されるようになりました。
そんな風に認識が改まり、2017年瓶詰以前のシェリー樽熟成の96ネヴィスを飲み直してみるとまた新たな発見があったりと、ウイスキーは理解に難しくも、なかなか愉しいものだなと思います。
2014年から2017年までを、僕の中で「96ネヴィス初期」と呼んでいます。
2019年に2017年瓶詰以前のシェリー樽熟成の96ネヴィスに対する認識を改めさせられるちょっとした出来事がありましたが、それはまたそのウイスキーを紹介する時にお話ししましょう。
今回の記事は時代と共に僕の中での96ネヴィスに対する認識の変遷を書いて来ました。ある意味、全ては「シンプルな構成要素ながら伸びの良いフルーティを感じさせるものが好き」というところから始まっています。
僕は素直に「好き」という感覚を大切にします。それをきっかけに対象を理解しようという動機が生まれます。そして、誤解は修正され認識が深まります。何かを愛でるというのはそういう行為で、とても楽しいことです。
当然ですが、時間が経てばシンプルなだけではいられなくなり、複雑さを手に入れていきます。飲み手である僕らもアップデートが必要になります。そして、アップデートにより新たな切り口を手に入れてかつてのウイスキーを飲んでみると同じように感じるだけではなくなります。
34種の96ネヴィスを並べて語ることで、皆さんとそんな認識が共有できたらと思っています。
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