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マリブドッグ マーケットをはじめてから、初めて本格的に仕入れた商品が「Hampi Natural Pet Spa」でした。このブランドについては、さまざまな発見、困難、喜びがあったのですが、今日は出会いについて話をしてみます。


ファーストネームで呼び合う国。

日本からペット用品を輸入していた私たちは、いつかは外国で直接、買い付けをしたい、と思っていました。ちょうどユナイテッド航空のマイレージが貯まったこともあり、アメリカの展示会に行ってみることになりました。

展示会場に到着早々、驚かされたのは、受付では、ファーストネームを呼ばれる、ということでした。日本の展示会でも、名前や所属を登録し、入場パスをもらうのですが、アメリカでは、その登録名がファーストネームでした。(少なくても私たちが行った2000年代は)

名前を呼ばれ、入場パスを受け取り、会場に入った時、そのファーストネームの意味がわかりました。

楽しいのです。

ビジネス向けの展示会でありながら、儀礼的なことや堅苦しいことは一切ありません。カジュアルな雰囲気の会場は、ちょうど学園祭の会場のようでした。

会場の真ん中のいい場所に大きなブースを構えているのは、有名ブランド、大きなメーカーですが、私たちは最初から、そうした企業とは縁がないため、その周辺にずらっと並ぶ中小企業、あるいは個人が出展しているブースを見て回ることになります。

ブースといっても中にはキャンピングテーブルにクロスを敷いただけの簡易的な出展も多く、個人の出展では、テーブルすらなく、床にクロスを敷いて商品を並べている「ブース」もたくさんありました。

そして、そうした小規模なブースの方が、圧倒的に面白かったのです。死海のペットスパのブースも、そんな小さなブースのひとつでした。

Will you try it ?

ランチを食べる時間も惜しみながら会場を回っていましたが、とにかく広大で膨大な数の出展者があり、とても1日では回りきれません。当初は3日間の予定でしたが、なんとか効率よく回り、おもちゃや首輪など、狙っていた商品については、だいたい買い付けができたかな、と思っていた2日目の午後でした。

足早に通り過ぎようとする私たちを、呼び止める女性の声でした。

乱雑に散らかったブースには、シャンプーと思われるボトルがいくつも並んでいました。彼女は、「いいから、手を出して」と言いながら、泥のようなものを手のひらに押し付けてきました。

「え?」

一瞬ひるみますが、次の瞬間、それは驚きの声になりました。彼女がティッシュを取り出して泥をぬぐうと、手のひらのその部分がきれいに輝くように見えたのです。

「Dead sea....」早口の英語でしたが、デッドシー、という単語はすぐにわかりました。その泥とは、死海の泥だと彼女が教えてくれました。つまり、死海の泥を使った犬用のシャンプー、を販売しているブースだったのです。

「I 've lived in Kobe 10 years ago.」 私たちが少し興味をもったと感じたのか、女性の後ろから、恰幅のよい男が現れました。彼は「日本の神戸に幼い頃に住んでいた」という話になり、商品のことを説明してくれました。

彼らの商品は、Hampi Natural Pet Spaというブランドで、出身地であるイスラエルから死海の泥とミネラル塩を輸入し、カナダで生産している、とのことでした。

英語のニュアンスから、カナダというよりアラブ系の感じはしたのですが、扱っている商品を聞いて、それも納得しました。死海の美容効果をもつ犬用シャンプーという特長がとても面白く、また話も弾んだこともあって、サンプルを購入することにしました。

信じられないほど、美しい洗い上がり。

アメリカから帰国後、黒ラブのギネスを、死海のペットスパで洗ってみることにしました。ミネラルタイプとマッドタイプの2種類と、マッドトリートメントと呼ばれる泥パックを簡易的にできる商品がラインアップされていました。

最初は試しに、マイルドだとされる、ミネラルシャンプーで洗ってみました。それほど過大な期待をしていたわけでなかったこともあり、その仕上がりがあまりにも美しく、それから友人にも試してもらったりして、検証を続けました。

実は、帰国後、ちょっと不安なことがありました。

それがこの記事の冒頭の画像なのですが、この画像は「死海のペットスパの洗い上がりがよくわかり写真」と言われて、メールで送ってくれたものでした。たしかに、使い方の説明にはいいかもしれませんが、それにしても、この写真だと仕上がりの良さどころか、「これで大丈夫なのか?」と心配になってしまいます。

そもそも、シャンプーはこのような泥状ではなく、透明の液体なので誤解が生まれれる懸念があります。もし輸入することになっても、マーケティングでは苦労するかもしれないなぁ、と思っていたのです。

結局、この後、何度もトライアルを繰り返し、私たちは、Hampi Natural Pet Spaを輸入することを決めました。それも、日本総輸入代理店として、取り扱うことになりました。

その辺りの経緯については、また書いて見たいと思います。

出会いは思わぬところになるものだ、と今でもつくづく思います。

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