Paciencia

ビビッ。この人と踊ってみたい、3タンダ目をご一緒した時わたしは思いもよらないことを言っていた。
「次のアジア大会、一緒に出てくれませんか」

少し間があって、こう返ってきた。
「ムンディアルのアメリカ予選ならいいですよ。来られますか。」

引越し予定が決まっているということだった。1週間後に答えを持ってくる約束をし、私は悩んだ。行けないことはない。でも3回しか会ったことのないこの人を信じていいのだろうか。悩んで悩んで悩んで、1週間後、私は行かない決断をした。

数日後昼休み、携帯にメールが入っていた。
「今搭乗ゲートにいます。行ってきます。」
空を見上げて考える。この空のどこかにいるのだろう。そして凄く遠くに行ってしまったような、胸を締め付けられるような苦しさに襲われた。ああ、踊りたかったんだ、捨て身で行けばよかっただろうか。涙が頬を伝った。

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