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映画『きみの色』はなぜ眠くなるのかを考えてみた

僕はこれまでに『きみの色』を四回見た。 一回目の視聴時は、僅かな情報すらも見逃すまいと頭をフル回転させながら見た。見終わった後は涙が止まらず映画館でボロボロ泣いてしまった。 しかしネットの感想を見てみると、「きみの色で眠くなった」という感想も少なからず見られた。 僕は最初その言説には全く理解しかねた。 僕にとって山田尚子の映画とは戦いなのである。 1カット1カットに意味を込めてくる山田尚子の映画は、もはや視聴者と山田尚子の戦争だ。 一瞬の気も抜いてはならない。 しかし

    • 山田尚子が撮らないことで逆説的に浮かび上がる鎧塚みぞれの内面

      山田尚子監督のキャラクターの撮り方について、キネマ旬報のインタビューがXで話題になってます。 該当のXのポストはこちら。 気になったところを抜粋します。 ここを読んだとき、思わず「あ、あそこだ!」と思ったカットが思い浮かびました。 それが映画『リズと青い鳥』冒頭の冷水機カットです。 『リズと青い鳥』冒頭の冷水機カット1.希美が冷水機で水を飲む 2.みぞれもその冷水機で水を飲もうとする 3.急にカットアウトされ次の場面へ!!! 学生時代なら誰しも経験のある、前の人に続い

      • 山田尚子監督に見る『ただそこに存在するキレイな世界』、あるいは『逆セカイ系』

        『ひろしまアニメーションシーズン2022』(https://twitter.com/Animation)にて、『平家物語』の『山田尚子(監督)×吉田玲子(脚本)×久保友孝(美術監督)』の方々によるトークショーが開催され、以下に記事が書かれています。 この中で気になったのは、久保友孝美術監督が語るこの点です。 この内容はどこかで聞いた事があるなと思ったら、山田監督は聲の形でも同じような内容を語られています。 つまり、「登場人物の置かれている状況とは関係無しに、キレイな世界

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