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「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第4回 外国人実習生制度の一体どこが問題なのか?

 近年、外国人実習生制度の問題が次々と明るみに出てきています。例えば実習生制度で来日していた外国人が失踪したとか、または彼らが犯罪に加担したというニュースは枚挙にいとまがありません。こういったニュースが原因で、「外国人=怖い」という印象を持つ日本人も増えてきているのかもしれません。

 一方で「外国人実習生に対する搾取」が問題視されるケースも増えています。奴隷労働の様な環境で働かされ、それが外国人に対する人権問題として深刻化しているケースもあります。このように雇用側、外国人側、共に様々な問題が表面化してきています。

 では一体この制度のどこに欠陥があるのでしょうか?この点で統計は雄弁です。既に外国人実習生制度の「技能実習」という在留資格が創設されてから10年以上が経過しました。この10年間で様々な統計が集まっており、その統計を見るならば、この制度の欠陥が浮き彫りになってきます。

 加えてこういった問題は、日本国内の制度だけに目を向けても余り意味がありません。「諸外国では外国人がどういう立場で働いているのか?」という視点も重要です。なぜなら外国人実習生は数ある国の中から日本を選び、その結果として今ここにいるからです。他の国と比べて優れた点、劣った点を考察する時、この問題の本質が更に明らかになります。

 この点で私は香港及びマレーシアの港湾で会社を経営しています。つまり私自身が外国人として外国で会社を経営する立場にいます。併せて港湾には沢山の外国人労働者がおり、彼ら外国人を雇用主として雇用する立場でもあります。このように日本以外の状況も熟知している事から、この外国人労働者の問題に関して、より客観的な立場で物事を俯瞰できると自負しています。

 それで今日は「外国人実習生制度の一体どこが問題なのか?」というテーマでコラムを書き進めていきます。このコラムを通して、現在の実習生制度の問題点を考察していきたいと思います。加えてもしこの問題が放置されれば、将来どんな未来が待ち受けているのか、という点も推察していきたいと思います。長文ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

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マガジンは毎週1回、月4回更新します。コンテナ業界の裏話を含んだ自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」と、日本の構造的問題を海外の経営者の視点で統計と共に読み解くコラム「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」を隔週で更新。貿易に関心がある方、海運やコンテナ関連の株をお持ちの方、またマレーシア在住者を含む海外移住者やそれを目標にしている方、更には日本の行政や教育システムに疑問をお持ちの方に有用な情報をお届けします。

香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計…

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