冬の入り口

お寺の高い生垣の道を歩いていく。
いままで歩いたことのない道を歩いていく。

「ちょっと食べすぎたな」ランチなのにメインのほかに、シュウマイも頼んでしまった。目の前に並んだ皿を見て「ア~ア またやっちまった」
まさしく、「やっちまった」感じなのだ。
残すのはもったいないし、お店の人にも悪い、「お腹いっぱいなので」と言う言い訳も変だ。
いつものことだが、目が食べたくて、メニューに誘われて、注文するが、目の前に皿が並んだ瞬間後悔するのが常だ。
若いころは食べたくて頼み、食べすぎだーと思いながらも食べられた
が、今は何かが変わってきたようだ。
対策としてタッパーを持ち歩き、食べられないのは持ち帰ればいいや、と思うのだが実行できていない。
なんとか食べきって出てきたが、うっすらとそんな自分を責めている。

ため息をつきながら立ち止まって深呼吸をしたら、ふっと懐かしい香りを感じた。
高い生垣を見上げるとそこには金木犀の花が咲いていた。まだ夏の名残りの暑さが残っているのにと思いながら見上げていた。
私のなかでは「金木犀」が咲くことは冬の始まりを意味している。いつのまにか冬の扉の前にたっていたのだ。ホカホカのシュウマイが欲しくなったわけだ。

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