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人気エフェクターと不人気エフェクター

ここはとある一室、二人の男女が炬燵を囲んで談義している。
傍にハチワレの猫が一匹、眠そうに欠伸をしている。
男が言った。
【エフェクターってさ、この前話したじゃん、エフェクター。】
「うん、エフェクターね、覚えたよ。」
「エフェクターがどうしたの?」
【人気のあるエフェクターと不人気なエフェクターがあるんだよ。】
「そうなんだ、何が違うの?音?」
【うん、音は大前提として、同じ会社が出してる同じ種類のエフェクターでも、僅かに違う。】
【全く同じ音のエフェクターってあるのかな?もしかしたらあるのかもしれないけど、無い可能性もある。】
「そうじゃなくて、何が原因で優劣がつくのかなって。」
【あぁ、そうか、オレは何を言ってるんだ、頭がおかしくなったんじゃあないのか?】
「前からオカシイでしょ笑。」
【そうだった、今に始まったことじゃあないね。】
「それで、なんで人気が出たり人気がなかったりするの?」
【そもそもエフェクターというものは、作ってる会社、例えばBOSSとかが開発して出る音を選定して自信をもって世に売り出すわけ。】
「うん、なるほろ。」
【最近は中華エフェクターって言って、有名なエフェクターの回路をコピーして、それっぽい音が出るようなのを安く売ってるんだけど、大手やこだわってる作り手はオリジナル路線を外れない。】
「ふむふむ。」
【そうやってこだわって作られたエフェクターってのは、そのエフェクター唯一無二の音が鳴るんだよ。】
「うん、なんかよくわからなくなってきた。」
【なにが言いたいかっていうと、悪い音がするエフェクターなんて無いってこと。】
「言いたいことはわかった、それで?」
【それで、音が悪いって表現も正しく無い。】
「そうなんだ、悪い音ってよく表現で使われるんじゃあない?」
【音に良いも悪いもないんだよ。】
【聴きての感じ方、好みの問題だから。】
「じゃあ、間違った表現方法なんだね。」
【オレが否定したところでどうにもならないけど、伝わりやすくはあるね、だから世に蔓延った、悪い音って言い方が。】
「好みの問題じゃあ表現が難しいもんね。」
【で、不人気エフェクターってのは音が悪いから不人気になったわけじゃないってことを言いたいのデスヨ。】
「その音が好みの人が少なかったってコト?」
【そうだね、それもあるし、使い勝手が悪かったりするのもある。】
【オレ、何気に不人気エフェクター好きなんだよね、安いから笑。】
「安いってどういうこと?」
【不人気になるってある程度期間が経ってからじゃん、んで、出た当初は皆んな買ってみるけど、気に入らなくて売る。】
【売ると中古市場で売り出されるわけだけど、不人気だから誰も買わない、売れないと値段が下がる、それで安くなる。】
「なるほど〜なっとく〜!」
【エフェクターって買いだすと止まらなくなるから、安いのは凄く嬉しいのデスヨ。】
「安いと嬉しいよね!で、変な音するの?使ってみた?」
【もちろん買ったからには使ってみたし、どれも変な音はしないよ。】
【むしろなんでこれが不人気なのか不思議に思った。】
「変な音しないなら、使い勝手が悪いんじゃないの?」
【若干使い勝手が悪いのもあるけど、そこまでじゃないし、狙いを見定められたら、強力な武器になるね。】
「武器?◯しの道具になるの?あっ、重いから鈍器にするの?笑」
【その武器じゃあない笑。】
「笑、武器になるってどういうこと?」
【使ってる人が少ないって事は同じ音が少ないって事。】
【オレ独自の音が出せる、人と被らないってことはオリジナリティが高いってことに繋がるんだ。】
「なるほど、武器だわ〜。」
【なっ?!武器だろ!?】
「私も不人気エフェクター欲しくなってきた笑。」
【安いから気軽に買えるよ。】
【ただ、クセが強いのが多いと思うから、使いこなすのに時間がかかるかも。】
【でも、そういう時間って楽しいから、苦じゃないと思うよ。】

「なんか、わかる〜。」
「じゃあ、不人気エフェクターは音じゃなくてクセのせいで不人気なのかもね。」
【そうかもね、使いこなすのが苦になる人もいるからね、素直に使える方が万人ウケしそう。】
「不人気エフェクターの謎は解けたね。」
「因みに人気エフェクターはなんで人気がでたの?」
【オレが思うに1番の理由は、有名なミュージシャンが使ったってこと。】
【それもレジェンド級のね。】
【例えばシュレッドマスターはレディオヘッドのジョニーさんが使って人気がでたし、チューブスクリーマーはスティービーレイボーンさんが使って大人気になった。】
「憧れか!」
【そうだね、皆んなジョニーさんやレイさんになりたいんだよね。】
【そういうわけで、売れに売れて人気エフェクターになった。】
「なるほど〜わかた!」
【ただ、人気エフェクターって、もう廃盤になってて中古でしか手に入らないのがほとんどなの。】
【そういうエフェクターってもう増えないでしょ?だから、生産が止まって時間が経つと壊れるエフェクターが増える、現存する個体数が減る、壊れてないヤツがたまに中古市場に流れる、たまにだから中古市場で希少価値が付く、値段がバカバカ上がっちゃう。】
「高いのかー!」
【そこそこ高いギター買えちゃうぐらい高騰してるのもあるよ。】
「ふーん、でも、推しグッズだから買う人は買うんでしょ?」
【そうだね、一人で何個も同じエフェクター持ってる人もいるからね。】
「あぁ、使う用と観賞用と保存用みたいな?」
【まさに、そんな感じ笑。】
「オタクじゃん笑。」
『うにゃ〜。』

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