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カバーアーティストはアーティストなのか。

ここはとある一室、二人の男女が炬燵を囲んで談義している。
傍でハチワレの猫が眠そうに欠伸をひとつ。
男が言った。
【最近ていうか、前から自分の中で葛藤があるんだけどさぁ。】
女が返す。
「なになになになにぃ?」
【商売として成立しちゃってるから、戯言になるかもなんだけど、カバーアーティストっているじゃん?】
「うん、メイなんとかさんとか?」
【他人の曲をカバーして録音してCDとか音源にして売り出してる人ね、誰とは言わないけど。】
「うん、それがどうしたの?」
【あれ、カラオケ歌ったのを録音して売ってるって事でしょ?】
「あっ!そう言われると…。」
【オケはオリジナルとは違うかもだけど、録音手順はオケ作って最後にボーカル入れてって感じだと思うんだよね。】
「ムッ!」
【機材がいいやつのカラオケじゃん笑。】
【それを世のリスナー達は歌うまーいとか言ってCDとか買ってるんでしょ?】
「うん、そうだね笑。」
【あたおかじゃあねーか。】
「でた!あたおか笑。」
【カバーアルバムたまに出してるミュージシャンもいるけど、それはアレンジ変わってるし、そのミュージシャン独自の解釈でカバーしてるから、それは聴きたいって思うよ。】
【でも、カバーアーティストって…】
「言いたい事はわかるよ笑。」
【なんか偉い人が曲決めて、ちょっとアレンジいじってオケ録って、ハイ、じゃあこのオケで歌入れて下さいって出来上がるんでしょ?】
【歌ってる人、音楽してないよね?】
「そうだろうね、でも、商売として成り立っちゃってる。」
【そこが問題なんだよね、一から曲作って、アレンジ練り上げて作るより早く商品が出せる。】
【元ネタなんて無限にあるし、売れたらこんなおいしい商売ないからね。】
「歌ってる人はピエロかもね。」
【そこそこ歌を上手く歌えたら、後は周りが上手くやってくれる。】
「買っちゃう人も買っちゃう人だよね。」
【そこも問題、売れなきゃ成立しない。】
「上手いこと売り込みしたんだろうね。」
【カバーアーティストその人にどうこうじゃなくて、こんな商売成立させちゃったことになんかモヤモヤしてるんだよね。】
「まぁ、気にしないのが一番だよ。」
【そうだね、話変わるけど、宇多田ヒカルの曲カバーしたアルバム聴いた?】
「聴いたけど、微妙だった。」
【誰も宇多田ヒカルを超えられてなかったね、他の人が宇多田ヒカルの曲歌うとカッコ悪く聴こえる。】
「そうなんだよね、宇多田ヒカルが凄いのが改めてわかったよ。」
【宇多田ヒカルはオリジナルが完成されちゃってるんだろうね。】
【聴き方によっちゃ面白いって感じる部分もあるけど、オリジナル聴いた方がいいやってなる。】
「まぁ、人それぞれだからカバーの方がいいって人もいるだろうけど。」
【そうだね、こういうのは言ったもん勝ちだからね。】
「話戻るけど、そう考えるとカバーアーティストってある程度需要があるのかもね。」
【なるほど、チンケな音源でもよく聴こえちゃう人は喜んで買うのかもね。】
「言い方笑。」
【買った人が納得してるならいいよ。】
【でも、アーティストって表現は訂正した方がいいと思うよ。】
「アーティスト=芸術家だもんね。」
【カバーアーティストは芸術家じゃあないよな。】
『にゃあぁ〜。』

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