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試奏ってなんなのさ。

ここはとある一室、二人の男女が炬燵を囲んで音楽話に花を咲かせている。
傍にはハチワレの猫が一匹、眠そうに欠伸を一つ。
女が言った。
「またSNSで見たんだけど、シソウってなんのこと?」
男が返す。
【試す奏でるで試奏ね、買う前に、楽器、ギターとかベース、はたまたアンプやエフェクターなんかの音を出してちょっとだけ試しに弾かせてもらうことを言うよ。】
「そんなことしていいんだ!」
【もちろん、売り物だから乱暴に扱ったら駄目だよ。】
「でも、弾けない人は試奏できないね。」
【そうだね、でも、どんな音が出るのか買う前に知れるから、知ってるコード一発でも鳴らしてみるだけでもいいんじゃないかな?】
「なるほど、コードも知らない場合はどうしたらいい?」
【弾ける人を連れていくとか、店員さんに弾いてもらうのもいいかもね。】
「その手があったか。」
【ただ、試奏だけだと時間が短いから、正直よくわからない。】
「じゃあ、どうしたらわかるの?」
【んー、使いこなすって言うのかな?スタジオとか入ったり、バンドで使うなら合わせてみたりすると、試奏じゃわからない部分がでてくるんだよね。】
「うん。」
【だから、大まかな音?大体こういう音するんだなって確認したり、中古だったら、壊れてるとこ無いかとか確認したり、後はAとBの機材で迷った時とかに比べて決めたりする時に試奏してみるといいかもね。】
「まさに試してみるだね。」
【そうだね。服を買う時も試着するでしょ?そんな感じ。】
「なるほど!試着ね!」
【因みに、オレは楽器屋の店員のアドバイスはアテにしないようにしてる。】
「え?店員さんの意見はアテにならないの?」
【アテになる店員さんもいると思うけど、まず、自分で調べて知識を身につけた方が失敗しない。】
「情弱は搾取されるってこと?」
【うん、楽器屋さんだって売れなきゃやっていけないし、売れるように店員さんは接客すると思うのね。】
「うん、そうなるよね。」
【店員さん全部がそうじゃないと思うけど、やっぱり初心者は搾取されやすい。】
「ワタシもそう思う。」
【そこで役立つのが知識。】
「なるへそ。」
【ただ、楽器の知識って、ネットで仕入れたのだと、結構いい加減なのが多い。】
【まず、いい音。】
「うん、いい音ってなに?だよね。」
【人によっていい音って違うからね。】
【後、わけわかんないのが、鳴りがいい。】
「鳴りがいい?」
【なんだか、凄くいい音がしそうな言葉じゃない?】
「うん、そんな気がしてきた。」
【でも、よく考えると、鳴りがいいってなんだって思わない?初心者からしたらちんぷんかんぷんでしょ?】
【鳴りがいいからなんだって話なんだよね。】
「鳴りがいいとどうなるの?」
【鳴りがよくなる笑。】
「答えになってないし笑。」
【鳴りしか勝たん笑。】
「全然わからん笑。」
【そう、わかんないんだよ。】
「え?わかんないの?」
【うん、いい楽器の指標みたいに使われてたりしてるんだけど、鳴りがいいと、いい音がするって思い込んでる人には効果的な売り文句。】
「あーね。」
【ようするに、ネットで楽器の説明が書かれてるじゃない?そこで書いてある事を鵜呑みにしちゃうと、こういうわけがわからない言葉に翻弄されてしまう。】
「ほう。」
【だから、楽器の知識には経験がいるのだよ。】
「経験ね!どうやって経験値ためればいい?」
【うーん、色々買ってくしかないのかな。】
「そうなるかー。」
【でも、ネットで買う場合は店員さん関係ないから、もうガチャだよね。】
「ガチャ楽しいよね!」
【まぁ、楽器って作ってる会社が自信を持って作った商品だから、ちゃんとした会社のモノならハズレなんてないんじゃマイカ。】
「そうだよね、不良品とかじゃない限りちゃんと音は出るよね。」
【後は使う人の腕次第だよ。】
『にゃお〜ん。』

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