見出し画像

大学卒業直後に正体不明のDVDプレイヤーを購入した時の話

20年前の西尾克洋を巡る旅は充実していた

週末は6年ぶりに福島に足を運びました。

この時期の福島はもう寒いときもあり、ヘタすりゃダウンジャケットが必要になることもあるのですが、東京と陽気が変わらず非常に快適でした。

飯坂温泉も温度が高く、熱い風呂が大好きな妻の気に召したようで、それもまた旅の満足度を上げる結果となりました。

家内が、元気ならば、我が家は、明るくて平和なのです。

だから。

これで、いいのだ。

ということも大事で、ホスト役として見事にその大役を果たしたことは家庭の円満に一役買えたということもあり、本当に安堵しかないわけです。故の「これで、いいのだ。」であります。

ただ。

今回の旅の裏目的は昨日の記事にもした通り20年前の塾講師としての西尾克洋の足跡を辿ることでした。

妻を巻き込み数々の史跡を巡ったことによって確かに私が福島で奮闘していたことを再確認しました。あの当時のことがあるから大変だったけど今があるし、あの頃は大変だったことでも20年後に客観的に見るとコメディみたいなエピソードになってしまっているのです。

初心に帰ることはもちろん大事ですが、成長した自分がそこに居なければ意味が無い。

そう語ったのはイチローでしたが、もしかすると私もそう成れたということなのかもしれません。余談ですが「イチローが言っていた」と言えばどんなフレーズでも重みが出るので、説得力を持たせたいときはイチローが言っていたことにすれば良いと思います。

友人から20年前の写真が送られてきた

でね。

こんな話を大学時代に仲の良かった2人の友人のグループLINEに写真込みで共有したところ、その中の一人の友人から当時の写真がLINE上で幾つか返ってきました。

私が大学に通っていたのは1999年から2003年なのですが、機械音痴でパソコンはWordとExcelをそれなりに使えればいいくらいに思っていた私とは対照的に、彼は一夏の間農家にホームステイし、そこで得たバイト代の大半をノートパソコンに投じるほど興味があり、実際に活用していたように思います。

故に当時の写真などの記録が、彼の手元にはかなりの量存在しているのです。

刑事ドラマや推理ドラマでは絶対重宝されるタイプだと思いますが、ふとした時に彼が共有してくれる写真にはっとさせられることがあります。

二十歳前後の頃の記録なんて私の手元には殆ど存在しません。そもそも私は今も昔も写真をあまり撮らないんです。

これどうしてなのかなぁと思うと、写真映りが非常に悪いことや記録として取っておいても見返すことが殆ど無いこと、更には記録に残すことに対する妙な気恥ずかしさがあることも影響しているように感じました。

ですからこういう自分が残していなかった記録を彼が持っていることは本当にありがたいなぁと思う次第です。こういう性質の私ですから、当然彼の残している大学時代の記録以外は殆どアーカイブが無く、どんな形で歳を重ねたのかを見る術が無いのが今にして思うと少し残念ではあります。

話は戻りますが、彼の写真を見て驚いたことがありました。私は卒業式の翌日に仲の良い友人2人と福島に車で足を運んでいたのです。

思い返してみると私が就職した学習塾は最初の給料が5月末でした。つまり、およそ2か月は収入が無い状態で生きてゆかねばならない訳です。

元々そのことは内定後に何度か聞かされていました。ですから、内定後に勧められたのは引っ越し費用とその2か月の間の生活費を溜めることでした。

これどうなんすかね。

学生時代の最後に様々な経験が出来る機会を入社後の生活のために犠牲にさせる会社ってのは今にして思うと疑問が残ります。

会社としては無利子でその間の費用を貸してくれるとは言うんですけど、そんなことお願い出来る訳ないじゃないですか。あいつマジで「金貸してくれ」って言ってきたぞ、って言われるのが関の山ですからね。

ともかく、学生生活最後の6か月はバイトに明け暮れ、生活必需品を地方に帰る友人から安価で譲ってもらい、どうにか当面の2か月の生活のめどを立てたんです。

大学卒業後に敢行された「人体引っ越し」

ただ、いかんせん貧乏ですから、費用を掛けずに福島に行きたい。そこで友人が提案してきたのが「人体引っ越し」だったという訳です。

一人の友人は海外に、もう一人は大学院に行くことが決まっていたので3月末はまだ余裕があり、私が福島に向かうことに付き合ってくれるというのです。

下道を通って福島に向かい、3等分すれば安く行ける。そんな話だったんです。

とにかくお金が無いですし、大学の友人と最後にこんな思い出が出来れば楽しいじゃないですか。下道で福島というのがどうにも想像がつかなかったのですが、私はこの話に乗ることにしました。

卒業式翌日。
散々酒飲んで、最後のバカ話をした後で「人体引っ越し」は敢行されました。

ただ。

年度末なのと下道なのが影響して昼前くらいに春日部を出たのにとにかく進まない。栃木はおろか、埼玉すらなかなか脱出できません。

画像1

仕方が無いから路上でどん兵衛とかすする訳です。こんなことも今じゃやろうと思いませんが。

まぁ何て言うか、最後の青春の貧乏旅行って感じで今見るとほほえましいし、この写真見ても本当に私も若いんですよ。ヤクルトの村上と同い年ですからね。この頃の私。

コジマ電気で見つけた謎のDVDプレイヤー

気が付けば夜になり、確か矢板とかあの辺だったと思うんです。

あまりにも道路が混んでいたからだったと記憶していますが、デジタルに聡い友人が「コジマ電気に行こう」と提案しました。

多分、あまりにも道が混んでいて気分転換したかったんだと思います。私もあと一人の友人も同じ気分だったのでコジマ電気に寄りました。勿論何か買う気は一切ありませんでした。

ふらっと入って、最新のPCの状況を見て、引っ越し前に唯一新品で購入したテレビデオより格安のものを見つけて落胆したり。

そんなことをしていると、デジタル賢者の友人が興奮気味に私を呼びました。

DVDプレイヤーが死ぬほど安いぞ、と。

当時はまだDVDと言えばプレステ2の内蔵機能を使って観るような感じでした。VHSもまだまだ現役でしたし、有れば嬉しいけど2か月を生きねばならない私にとって優先順位を低くせざるを得ないものでした。

ただ、欲しいものではありました。友人がそう言うので見てみると、驚きました。

1万円。
DVDプレイヤーが。

おいおい。
私が知っているものの半額以下だぞ。
どうなっているんだ?

当然友人も興奮しています。そんなDVDプレイヤーなど見たことがないからです。しかも、そんなお宝を栃木の北部のどこだかよく分からないようなところのロードサイドのコジマ電気で見つけたのですからそりゃそうなります。

そのDVDプレイヤーのブランド名とは

一体どこのブランドなんだろう。

船井?
アイワ?


友人と私は謎のDVDプレイヤーを見ました。
するとこう書いてありました。



「moga Junior」


!?
モガジュニアー?

謎のブランドの名前にふさわしい、怪しげかつどこか間の抜けた哀愁漂うものです。当時こうした家電店では基本的に日系企業の商品しか取り扱っていなかったので、モガジュニアーとか言われるとビックリするんですよ。

友人は爆笑しています。
私も笑いが止まりません。
なんだよモガジュニアーって。

学生生活最後の思い出にモガジュニアーのDVDプレイヤーを買うとか最高じゃないですか。金は無いけどモガジュニアーとなると話は別です。

どうにか2か月を1万円少ない状態で生活すればいいんです。いざとなったら阿武隈川で鯉でも釣って焼いて食えばいいんです。私にとってそれほどこの時はモガジュニアーが大事でした。

DVDプレイヤーを見て友人が取った驚くべき行動

そんな訳で3人でモガジュニアーを抱えてレジに向かいました。するとデジタル賢者の友人が驚くべき行動に出ました。

値切り交渉をし始めたのです。

私たちは大学卒業したばかりでとにかく金が無い。貧乏だから下道を通って埼玉から福島に向かっている。しかしどうしても事情があってDVDプレイヤーが必要なんだ。だからなんとか値下げできないだろうか?

1万円のモガジュニアーをまだ安く買えないかと相談しているのです。

さすがにそれは無理筋じゃないか?そもそも馬鹿みたいに安いし。コジマ電気で価格交渉とか聞いたことないし。

懐疑的な眼差しで見ていると、友人の提案に何かを汲み取ったのか、モガジュニアーを9000円にしてくれると言うのです。

すげえ!
モガジュニアー、まだ値下げできるのかよ!

DVDプレイヤーを入手した後の私

もう私たちは笑いが止まりません。念願のDVDプレイヤーを手に入れた私たちは、記念撮影することにしました。

そんな思い出の写真を友人は送ってくれたのです。【閲覧注意(一応)】

購入時

画像2

当時ヘヴィメタルをよく聞いていたので、このポーズとこの表情よくしていました。あと、写真映りが悪いからこういう顔をしている方がネタにしやすいんです。

設置後【更に閲覧注意(一応)】

画像3

22歳なので色々許してください。しかしモガジュニアーのDVDプレイヤー、肉厚ですね。ジューシーです。ちなみにかなり重かったです。

そして20年後

福島で塾講師時代の私を巡る旅をしたところ、学生時代最後の西尾克洋まで発掘出来て私は初心に帰ることが出来ました。

もう変顔をすることもモガジュニアーでDVDを見ることもありませんが、そういう時代を経て今があって、多少写真映りが悪くてもまぁいいじゃないかで済ませてしまうのもまた私の変化なのかもしれません。

そこに居るのは成長した自分であると信じたいところです。単に無頓着になった自分がそこにいるということでないことを祈りたいところです。

ちなみにモガジュニアーのDVDプレイヤーは1年後に塾を辞めるタイミングで近所のリサイクルショップに確か1000円で売りました。購入時と比較して8000円円高モガ安でした。

2003年3月27日の福島駅

画像4

■挨拶・自己紹介・雑談用の記事も作りました。

今回の記事の感想とは別で西尾と話したい!という時はこちらをご利用下さい!

■今日の記事のコーナー

これはね、本当にありがたい。私も同僚、家族の次に頻繁に話しているの、noteの方たちです。兄辺りよりはたぶんおるかさんとかの方が話しています。

これについてはバランスを失って手痛い失敗をした話もあるので、後日皆さんにお話しします。


この記事が参加している募集

おすすめ家電

よろしければサポートお願いいたします! 皆様のために今後使わせていただきます!