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2020朝日杯フューチュリティステークス観戦記~そして怪物がやってきた~


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朝日杯を優勝した怪物というと個人的はまずグラスワンダーが思い浮かぶ。私もだいぶ年老いてきた(逆流性食道炎は日に日に悪化している)がまだマルゼンスキー世代ではない。

さて、先週の朝日杯はグレナディアガーズの優勝に終わった。川田騎手の(年度)連続G1勝利記録がつながったり、レコードが叩きだされたり、中内田厩舎はやっぱり2歳戦に強かったり、豊騎手の悲願はまた叶わなかったりとトピックスの多いレースとなった一戦を振り返って行きたいと思う。

デイリー杯をレコード勝ちしてここに挑んだレッドベルオーブが人気の中心となったレースを引っ張ったのはルメール騎手騎乗のモントライゼだった。距離延長に不安を抱える同馬ではあったが選択したのは溜め逃げではなく思い切った大逃げ。モントライゼに重い印を打っていたこともあり個人的に申したいことは少々あるが、性別は違えど昨年のレシステンシアのようにスピードで圧倒するレースがしたかったというのもわからなくはなくひとまず来年以降に期待したい。ちなみにモントライゼに関して言えば京王杯で府中の長い直線をほぼ丸々単騎先頭で押し切った内容をかなり高く評価しておりマイルが長すぎるとも思っておらず大きいところに手が届く器だと思っている(結局申す)。

そんなハイペースのレースをグレナディアガーズは番手で追走、人気のレッドベルオーブは結局好位置の一列後ろに収まり、さらにその少し後ろに人気の一角ステラヴェローチェが位置した。道中でペースを落とさなかったモントライゼのリードは広がり直線を向いたあたりではまだ5馬身ほどの差を保っていた。しかしさすがに前半4ハロンを45秒2(ビアンフェがぶっ飛ばした去年より速い)で入った代償は大きくなんとか残り200過ぎまでは先頭を譲らなったもののそこで馬群に沈み、先頭はグレナディアガーズに変わる。レコード決着でありながら上がりのタイムは例年の朝日杯と比べてさほど速くはなく完全なハイペース、こうなれば早め先頭のグレナディアガーズにとっても決して楽な展開ではなかったが詰め寄られこそすれど最後まで人気両馬に先頭を譲らず見事に押し切って見せた。レース内容を考えれば着差以上の衝撃があり、やや時期尚早とは思いつつも怪物(候補)誕生と記しておきたい。勝ち馬の詳細は後に回しまずは2着以下の馬について簡単にまとめておく。

ステラヴェローチェ・・重めの血統を考えれば良馬場でも戦えることとスピード決着にも対応できることを示したのは非常に大きな収穫。現状マイル~中距離がベストには感じるが成長次第ではクラシック路線も十分狙える。狭い内目を捌き切った鞍上の手腕はもちろん同馬の操縦性の高さも光った。

レッドベルオーブ・・惜しくも兄の無念を晴らせず。鞍上も述べていたように3コーナーで勝ち馬の後ろに入れなかったのが痛かった。直前にガツンとかかりそうになったのをなだめたところだったのであそこでは促せなかったように思えた。展開次第ではもう少し前に迫れたと思うがややジリっぽい一族でもあり、そもそも抜けた存在とまでは言えなかったかもしれない。気性の成長が必要か。

バスラットレオン・・いわゆる「キズナの距離短縮」で大きな見せ場を作った。一番良い位置で直線を向いたが、最後はステラヴェローチェに内を掬われ勝ち負けはそこで厳しくなったが力を出し切っている。キレる脚はないが堅実な実力派。また広尾レース&矢作厩舎のコンビがこの舞台にしっかり2頭送り込んできているのも見逃せない(去年もホープフルでパンサラッサが見せ場を作った)

ブルースピリット・・200ずつ距離を延長しながらこの大舞台で掲示板に食い込んだ。厳しいペースを健闘しており価値の高い好走。厩舎も含めてあとはここからの成長力。

スーパーホープ・・本命馬だったので少々触れたい。鞍上曰く外枠が厳しかったとのことだが脚質を考えれば内枠だったら、、ともあまり思えない。むしろ直線でロードマックス(この馬の末脚も見逃せない)に前をフラフラされたことのほうが影響があったように思う。力はあるのでまだ見限らずにおきたい。

そして、グレナディアガーズである。まず個人的には未勝利戦の勝ちっぷりには大物感を感じつつもやや過剰人気だという感覚を持っていた。内容が良いとはいえ1400に短縮しての話だったし、その前はレッドベルオーブにちぎられてしかも苦しくなって内にヨレていた。噛み合えば強いがマイルよりはスプリントで輝くと思っていたし、なんというか素材は確かだが大きいところでは嵌らない印象があった。この馬は名門サンデーレーシングで同世代84頭の中で最高値の1億2000万円で募集されている、同額がもう2頭いるがそれはどちらも実績十分のディープインパクト産駒。なんというかもうこの馬に向けられた期待感の高さが私には眩しすぎて逆に怪しく感じられた。レース前の状況を端的に記せば、未勝利を勝ったばかりの3戦1勝馬、マイル戦では1秒以上離されての敗戦があるにも関わらず中内田&川田ラインにサンデーRとブランド感があり単勝オッズは20倍もつかない。どうもきな臭く感じてしまった。 強いものは強い、素直になろう。

馬名の由来を見てみると「イングランドの擲弾兵近衛連隊」とあった。うん、わからない。。調べてみるとーこのあたり私は明るくないので解釈が違っていれば申し訳ありませんー擲弾兵というのは主に手榴弾を投げる兵隊で、投げるためには銃などを持った相手に近づく必要がある上古代の手榴弾は扱いも難しく擲弾兵になるためには肉体的にも精神的に優れた兵士でなければならなかったそう。その上近衛連隊という事は要人を警護する任務も請け負っている。要は身も心も強い存在なのだろう。どことなくこのレースでグレナディアガーズが取った戦法と重なって見えた。自身もマイルに一抹の不安を抱きつつも、人気馬に先んじてハイペースで逃げる前を自力で追いかけねじ伏せて後続をも振り切る。本当にただただ強かった。

一度挫折したエリートーそう、グラスワンダーだってサイレンススズカに鈴をつけに行ってからさらに逞しくなったーは頼もしい。左回りも、きっと大丈夫。

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