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2021高松宮記念観戦記~龍王から受け継ぎし重撃~


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2番人気?単勝6倍?舐めるなよ。ダノンスマッシュ自身がそう思ったかどうかはわからないが多分川田騎手は思っていただろうし、少なくとも私はそう思っていた。

ダノンスマッシュが悲願の国内G1タイトルをついに手に入れた今年の高松宮記念を振り返って行きたい。

去年と同じ重い馬場を去年と同じくモズスーパーフレアが先頭で直線に入ってきた。スプリントG1なんていつもそうだと言われればそれまでだが、手ごたえが良い馬なんてほとんどおらず、凌ぎあいの消耗戦となった中京の直線が再び松若風馬に微笑むことはなかった。しかし、ゲートを出た時にはもう先頭、あっという間に1馬身2馬身と抜けていく昨年覇者の逃げ足は実に勇ましくこのレースを締まったものにしてくれた。あくまで主観だが力のある逃げ馬が淀みのない流れでレースを引っ張り、自身も勝ち負けするG1は大体名勝負になると思っている。今年もそうだった。

ほとんどいない手ごたえの良い馬の1頭だったラウダシオンが抜け出すかに見えてーあるいは馬場を気にしたかー失速した最後の1ハロン過ぎ、内を掬ったマイル王インディチャンプが満を持して先頭を伺う。その通った位置はこの開催後半伸びそうで伸びきれない外を尻目によく勝ち馬を輩出した絶妙の三分どころで一昨年に続いて福永騎手の手綱さばきに軍配が上がったかと思えた。しかし外から人気2頭が併せ馬で伸びてくる、あるいはそれが単走であればインディチャンプの出し抜けが決まっていたかもしれない。

一旦は被せ気味に前に出たレシステンシアだったが、世界を制した父譲りの末脚は一段と磨きがかかっており、ダノンスマッシュがそれを内からねじ伏せにかかる。最後まで際どく競り合った2頭であったが、凱歌はわずかにダノンスマッシュに上がった。

上位馬と個人的に注目していた馬については個別に記したいと思う。

ダノンスマッシュ・・中団から進めて馬群の真っ只中を追走。直線は抜けてこられるスペースが確保出来るか微妙な位置にいたが、セイウンコウセイが内に動きながら伸びたこともあり進路を確保。最後は人気のレシステンシアを内から競り落とし見事に戴冠。昨年末に続きダノン川田コンビがトライアルハンターを脱却しつつある。

レシステンシア・・思ったほど前には行かずというか初のスプリントで流石に行けなかったか、先団のやや後ろからレースを進めた。直線はこれまでにない一番外から追う展開となったがしっかり脚を使い際どい2着。勝ち馬と内外が逆であればおそらく結果は逆だっただろうし、差す競馬が出来たことも価値があり負けてなお強し、収穫の多い挑戦となったと言える。

インディチャンプ・・直線でうまくダノンファンタジーとレッドアンシェルの間を割って唯一内目からモススーパーフレアを追ったが僅かに伸び負け惜しい3着。最高にうまく乗ったしスプリントにも良く対応しているが、やはり血統的にもこの距離がベストとは思えなかった。ステイゴールド産駒のスプリント重賞制覇は今回もお預けというか恐らくもう厳しいか。力負けというよりは適性の差。

トゥラヴェスーラ・・シンガリ人気に近い大穴の存在だったがやや後方から上位2頭の後ろをうまく追い上げて大健闘の4着入線、通った位置も良かったか。カデナ、エアスピネルに続きこの騎手はほんと伏兵でも力をしっかり出し切ってくれる。

モズスーパーフレア・・坂上惜しくも力尽きたが今年も見せ場十分の外連味ない逃げを見せてくれた。力はまだ落ちていない、人気落とすなら次走以降妙味がある。

ラウダシオン・・絶好の位置、絶好の手ごたえで直線を向いたがそこから伸びるシーンがなかった。口向きの悪さが気になったが、同条件のシルクロードステークスではそんなことはなかったので馬場が応えたか。力負けとは決めつけづらい。

レッドアンシェル・・いい位置で直線を向いたが先にエンジンがかかったインディチャンプに前に入られそこからは伸びるシーンがなかった。瞬発力の差が響いた。

ライトオンキュー・・こちらも雰囲気よく直線を向いたがカツジらとの叩き合いから真っ先に脱落。鼻出血があったとのことでその影響が大きかったと思われる。


1400を連勝して挑んだ朝日杯でも掲示板に載り、若かりし頃から将来を嘱望されていたダノンスマッシュ。父のような偉大な名馬になっていくだろうと多くの人が感じただろうし、私も少なくともスプリントならG1まで手が届くかもしれないと当時から思っていた。そしてそれからも順調にステップアップし4歳春の時点でG1で抜けた1番人気に推されるほどの存在になっていた。しかしまさかよもやそんなダノンスマッシュがそれから重賞を6つも勝てどG1には手が届かない名バイプレイヤーのようなポジションに収まるとは全くが予想がつかなかった。若駒の頃から常に世代の上位を賑わす存在でG1でも何度も上位に食い込む偉大な父を持つ実力馬だがどうももどかしい、もしかすると中京スプリントでキングヘイローが背中を押したのだろうか。

しかしまぁ直線で進路を確保した時の川田騎手はほんとに頼もしいと思うと同時にダミアンレーンが乗ると馬が変わるなぁとつくづく。ノーザンファームはこれでオレハマッテルゼを最後に15年連続でこのタイトルを逃し、古馬混合芝G1では牡馬がフィエールマン以来11か月ぶりにようやく勝利を挙げた。豊騎手の離脱に端を発し何かとトピックスの多かったG1が終わりいろいろ春開幕である。

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