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9・11には書けなかったこと。

一昨日は9・11で、ご多分に漏れず多くの人がその記憶を文章にし、
テロを糾弾していたりする。
いつ戦争が勃発してもおかしくない緊張が、海にも空にも漂っている。

じっとしているのが一番!
隣国を刺激するな!という論調もあれば、
もっとガンガン言い返せ、やり返せ!という論調もあるだろう。
で、結局は、個人がどのように生き、どのように戦うのか?という事しか
僕らにはないわけで、そう考えた時、僕にはどうしても、いや、一生忘れられない出来事があるのだ。

12年前。

あの311、大地震、大津波の翌日。

真っ暗に静まり返る新宿は末広通に、ポツンと、
小さなバーの灯りが灯っていた。
本当に底一軒だけ、周囲から浮かび上がっていた。

細い階段を降り、店に入ると、一人で店を切り盛りする
女性店長でバーテンダのミツカちゃんがポツンと待っていた。
「いらっしゃいませ」
その声は、いつになく凛としていた。

僕は尋ねた。
「一人で怖くないの?」

彼女から返ってきた答えはこうだった。

「そりゃ怖いですよ。足、竦(すく)みますよ。でもこんな時だからこそ、
一人で部屋にいて、寂しい、辛い思いを抱えている人の寄港地になりたいじゃないですか。行くところがないなんて、悲しすぎます。そんな気持ちを思えば、自分の恐怖なんて知れてます。」

彼女はそう言って、いつ来るともしれない、来ないかもしれない、
”傷ついた誰か''を待っていた。

あのバーはもうない。
彼女が結婚・出産で、引退したからだ。

でも、彼女の精神はあの場所に、飲食業界に留まり続ける。

僕も同じ精神性だ。

こんな時のためにこそ飲食店はある。
そこには、見えない苦悩や、口に出せない痛みを抱える人もやってくる。

だからこそ、店は、寄港地として、変わらず生き、
変わらず付き合うことだ。

そして客も楽しく飲み、食べ、語り。
盛り上げるのがよい。

僕にはそれが向いてると思うし、これからもそうするだろう。

昨日。

キツいことの方が多い日々の中で、とてもとても嬉しい日になった。
内容は言わない。
僕の心にだけしっかりと鍵をかけて仕舞っておく。

ただ、大きなエポックになるだろう。

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