恋一夜 大介


1ヶ月…………。
長いよ………連。

あの日、連の話しを聞いてから、俺達は表面上は普通に接するけど、今までのように、職場以外で会ったりする事が無くなった。
メンバーには少し心配されたけど、喧嘩ではないし、仲違いしたわけでもないよ。
と言うと、安心してくれた。

1週間後

予想以上に時間が進まない。
仕事がある日は良い。
けれど、1人家にいると時間が進まない。
夜は特に長い。

ポフン

枕に顔を埋めて、毛布に包まる。
暫く、そうして、目をつぶって…………。
でも、眠気なんて来なくて………。
無駄に、ゴロゴロベッドの上で転がる。

幾度、この上で連と戯れただろう?
髪の先から爪の先まで、連に触れられていない場所はない程で…………。
少しでも、連の何かを感じたくて、連のパジャマを思い切り吸い込む。
少しだけ、連を感じられた気がした。
約束の1ヶ月がとてつもなく長く永遠に続くような気がする。

やっと、約束の1ヶ月が近づいたある日。
その日は、阿部ちゃんと食事をして、もう帰ろうか、なんて話していた時。
不意に目に入って来た人。
あれ?

連と知らない女の人

2人は俺たちに気づくことなく、夜の雑踏に消えて行った。
「佐久間、大丈夫?」
阿部ちゃんを振り向くと、
「大丈夫」
ニコリと笑う。
「後で、きっちり説明させるから」
宣言すると、阿部ちゃんは驚いた顔を一瞬して、ふ、と優しく笑う。
「強くなったね、佐久間」
「そうかな?」
自分でも不思議だった。
だけど、何故か、心はとても静かで、何となく、何か原因 があるんだろうな、と思えた。
それが、信じる、という事ならきっとそうなんだろうなぁ、と思う。

そして、いつ問い詰めようか?
何て思いつつも、連とスケジュールが全く合わない。
仕方ないのだけど……、姿も
見れないのは、寂しい。
ため息が出るのは仕方ない、よね?
そんな休日のある昼下り、スマホが鳴る。
連からのラインだった。
全てが片付きそうだ、だから、家に来ないか?
そんなラインだった。
喜びに心が震える。
やっと、やっと、会えるんだ!
迷わず今から行く、とラインを返した。

走って、走って、走って、着いた連のマンション。
オートロックを外すのももどかしく、連にもう着くと連絡を入れる。
そして、連の部屋の前、チャイムを鳴らす。
すぐに、迎えてくれた連の胸に飛び込む。
「れ……ん……っ」
「だいすけっ」
連も俺も、余裕なんかなかった。
脱がされる服、
深くなるキス、
連が鍵をかける音を合図に俺達は獣になった。

幾度となく、連を求めて、求められて、何度も何度も受け止めて、はてた。
それでも、あきたらず、幾度もお互いに求めて続けて時間の感覚も無くなっていた。

「大介、大丈夫?」
情事の後、無理をした日は決まって連はこう聞いてくる。
「大丈夫だよ」
それに、今日はお互い様でしょ。
そんな事を言って笑いあう。
1ヶ月前までは日常だった。
「我慢させてごめん」
「もう、1人にするなよ」
言って連の胸にすり寄る。
「2度としないよ」
そんな事を話していた。
その時、玄関の方でなにか音がしたような気がして思わず連を見る。
「何か、音、した?」
「したね」
答える連の顔は厳しい。
「連?」
しっ、人差し指で声を出すな
、と言うと連はベットを出て、スマホをとり、操作をする。
そして、画面を見ると大きなため息。
そのまま、側に来て俺にもその画面を見せてくれる。
画面には、この家のリビング、そこに2人の男性が写っている。
監視カメラの映像だと言った

誰?
小声で聞くと、
戸籍上の父と兄だと言う。
とりあえず、電話をかける、そう言ってどこかへ電話をかけ始めた。
数分後
連が戻って来て、これから警察と弁護士さんが来ると言う。

30分後

数人の警察官に拘束された2人は、連に罵詈雑言を浴びせている。
連はそれを完全に無視し、弁護士さんという女性と話していた。

その弁護士さんはいつかの夜の人だった。

あ〜、やっぱり理由があった。
ホッとすると、同時に未だ連に罵詈雑言を浴びせている2人に我慢が出来なくなってくる。
警官の静止なんて意味なくひたすら、連に文句を言う。
「育ててやった恩も忘れてお前はっ!」
その一言に俺の中の何かが、切れた。
俺はつかつか、と彼らの前まで行く、そして………。
「あんたらは連の事を何だと思ってるんだ!
小さかった連にあんたらは何した?
無視して、のろまだ何だって、攻め続けたんじゃないのか?
小さかった連がどれだけ苦しんだか、傷ついたか………。
そんな、人間に何かしたいと思う訳ないだろ!
連がSnowManで、有名になったから?成功したから?
今更家族面しようって?
ふざけるなっ!
連がSnowManになれたのは」
連が死ぬ程努力したからだ!
続く言葉は連の胸の中、涙と共に流れて行った。
「大介、ありがとう。もう、良いから」
優しく抱き締められ、子供のように背中をポンポン叩かれあやされる。
「弁護士さん、例のものは持って来て頂けてますか?」
「持って来てますが、本当に良いのですか?」
「ええ、逆恨みされてもあれなので」
そして、連は2人に向かって宣言する。
「ここに100万あります。
これを持ってどこかへ消えて下さい。
そして、2度と俺と俺の周りの人間の前に姿を表すな。
そうすれば、今日の不法侵入も訴える事はしない。
あんたらの選択は2つ。
俺の条件を飲んで、このまま俺の前から消えるか、また刑務所入るか、だ」
「もし、目黒さんの条件を飲む場合、誓約書にサインと拇印をお願いします。
それと、お2人には、目黒さん、佐久間さんへの接近禁止命令も出させて頂きます。
こちらが、誓約書です。
どうしますか?」
弁護士さんが連の後を引き継ぎテキパキと処理をしていく。
誓約書を前に2人は悔しそうにしながらも、乱暴にペンを取るとサインと拇印を押す。
それを見届けると弁護士さんは警官に説明して、警官は帰って行った。
2人はというと、まだ何か言いたげに連を見ていたが、弁護士さんに
「こちらには誓約書があります。今後の行動次第では即刑務所ですから、お気をつけて」
釘を指され、無言でお金だけ持って出ていった。
そして、弁護士さんも帰り、連と2人。
「何か怒涛の1日だったね」
「結局巻き込んでごめん。
でも、嬉しかった。あんな風に大介が怒ってくれて」
「何か、我慢できなくなっちゃった」
くすくす笑うとぎゅ、と抱きしめられる。
「連?」
落ちてくる唇にどうしたの?と聞くと
「本当に嬉しかったんだ。
大介が怒ってくれて」
「そりゃ、怒るでしょ?
恋人の事悪く言われたら。
連だって、俺の事怒ってくれたじゃん」
「そうだった」
「この間の夜、あの弁護士さんと歩いてるの見たよ。
今日の打ち合わせだったりした?」
監視カメラまで仕掛けてるって事はそうだよね?
案に言うと苦笑して
「正解、前に、家であの2人と弁護士さんと話した時に、あの2人鍵を盗みやがって……。
それなら、それを逆手に取ろうって………。
第3者も居た方が良いっていうから……、ごめん、大介呼んだ。
本当は恋人は……、って言われたんだけど、そこは、通させた」
「良かった、他の誰か呼んでたら、怒り狂ってた」
半分本気で言うと怖いよ、なんて、言うけど、連の瞳はとても優しかった。
「やっと、終わったよ」
連の顔は少し寂しげで、でもスッキリした顔を見せた。


あとがき

いや、途中この作品が消えてしまいまして………(^_^;)
もう、ダメかと思いました(笑)

さて、めめくんの家族最低なお話2です(笑)
やっぱりねぇー、しっかりいなくなってもらおうかと、書きました(笑)

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