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社会的価値と本質的価値

社会的価値と本質的価値の創造には齟齬があるが、全く無関係でもないディレンマ。

開かれない本は存在しないも同義だが、誰も読めない本に本質が書かれていることもありうる。この問題をよく描いているのがボルヘス的ポストモダン文学や50-60年代のフランス批評であろう。

ピカソは職業画家であって絵を売らなけば食べていけなかった。彦坂尚嘉先生の動画を見ると、作品としての最高傑作は『アヴィニョンの娘たち』で、柳亮などわかる人にはわかるが、社会的には全く評価されなかった。売るために描いた『泣く女』などの作品が売れて、有名な作品となり、社会的評価を受けて美術史を形作っている側面がある。

アヴィニョンの娘たち
泣く女

ボードレールは詩人として有名だが、『悪の華』は発禁処分だし他に出版したのは『哀れなベルギー』くらいだったと記憶している。父の遺産を食い潰した禁治産者で、給料をもらっていたのは官展のジャーナリストとしてだった。

売れる絵が評価される図式をよく理解していたのはダリで、今日ではジェフ・クーンズやゲハルト・リヒターなど。映画『アートのお値段』はよくできたドキュメンタリーで、Amazonプライムでも見ることができる。
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売れた絵が必ずしも無価値ではないが、金額イコール本質的価値なのか、よくよく考える必要はある。ダリを毛嫌いしたのは詩人のアンドレ・ブルトンだが、精神科医だったのに医者を辞めて詩人一本で貧乏暮らしだった。その彼の文章も全てを評価できるか難しい。


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