しょせんそれって“道具”でしょ?

3Dプリンタやレーザーカッタの登場とともに、誰もが作り手になれるという「Makerムーブメント」だの「パーソナルファブリケーション」だの騒がしいのだけれど、実際はどうなんだろうか? 結局、それって道具や手段として新しいものが出てきただけにすぎないんじゃないか?

実際に使っている人たちからみれば、3Dプリンタよりレーザーカッタのほうが、はるかに実用的に感じられる場面のほうが多いのだけど、世の中的に人気なワードは「3Dプリンタ」だろう。道具なんだから、本来は適材適所で目的によって使うべき道具は違ってくるというのが当たり前の話なんだけど、世の中的な注目のされかたはちょっと違う……。

そんな筆者も昨今は個人的にもシゴトで必要なハードウェアをつくったりしているのだけど、それも20ウン年前とは違って、手軽かつ安価に高品質なものが手に入ったりする。サクっとArduinoとブレッドボードで試作して、69USドルのCADソフトで基板のデータをつくり、深圳の会社に送って、送料込みで50USドルくらいで10枚の基板ができあがる。そして、ケースもレーザーカッタで作る……なんてことが気軽にできるようになった。これはとてもすごくて、わくわくすることだ。

思えば、1980年代後半に、Aldus PageMakerやQuark XpressやApple LaserWriterなどとともにDTPが登場し、あっという間に世の中の商業印刷物もほとんどがDTPによるものになったわけだけど、じゃあ、それによって個人の出版活動が活発になったかというとそんなことはなく、同人誌などが手書きやワープロ打ちの切り貼りからDTPになったくらいだよね?

かつて、Blogブーム、Twitterなどの登場、YouTube、ニコ生、パブー、Kindle……、そしてこの「note」など。

新しいメディアや“道具”が登場するために、いろんなバズワードが登場しては消えていったわけだけど、結局大事なのは中身であり、何をするか、つくるかでしかない。

目的を持った人にとっては、超強力な“道具”が使えるこの時代は本当にすばらしい。言語の壁さえ超えられれば、ネットを介して世界中の​同好の士とゆるやかに情報交換ができるんだから、まさに「Maker」にとっては、たのしくてたまらない世界だ。

この「note」も、も単なる“道具”でしかないわけだけど、伝えたいコトがある人、それで生計を立てたいという人にとっての強力な“道具”になっていくんだろうか? 大切なのは、「誰もが“出版”できる」ことじゃなくて、いままで出版に縁がなかったけれど、強力なコンテンツを抱えた個人にとってチカラになる“道具”があるかということなんだと思う。

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