負の遺産

要害に建っておる建物というのは要塞であり、日本の山寺や神社は古い時代にそこが要塞となったつうのはごろごろある。熊本城が戦争に使われたつうたら西南戦争だが、城塞というのは神社仏閣と同じ扱いなんよ。
零戦は現存する機体が四機でそりゃあそれが動く機体つうのは文化財ですよそれだけでもう。負の遺産で世界遺産つうたら広島の原爆ドームとかがそうですがな。そういう方向で扱えばええんちゃいますかな。
戦争に使ったから残してはいけないとか言っておったらある時代に人間たちが実際にしていたことを後世に伝えることが断絶する。そうしておいて前の時代と後の時代を分断しようとしたところで、先祖というのは子孫の都合では生きていなかったので子孫からみれば不都合なことをしてからこの世を去ったということだらけであって、逆に三陸海岸に多数残るこの標高以下に住んではならぬという戒めの石碑のように先祖が子孫のためにと残してくれたものも結構あり、戦争遺産というものはそれを子孫が知って先祖の取った戦争という選択肢以外の方法で人間たちとのトラブルを解決する戒めとしよう、という意味で負の遺産を受け継いでいくのが叡智ではなかろうか。