勇気

問いかけに返答しない自由というものが存在する。
お金を払いそれを受け取り仕事をするということで皆自分の引き受けねばならぬ荷物を軽くしようとするのであるが、世の中には報酬などいらぬ、その役目を果たすこと自体に自己実現の目的意識がある、という人間たちがいて、お金で解決している人間たちからみればそういう人間たちは不気味にみえるらしい。
返答しないということの自由というものをつい最近明らかにした行動を結果的に取っていた人物にボブディランがいる。
商業主義にまみれておれば、権威というものはお金をもたらすのでそのお金に従わせようとして人間を支配しようとするのが権威というものを振りかざす人間たちであり、お金などいらないという人間はそういう権威からみれば不都合で、ボブディランがそれほど反骨でも反権力でもないことは彼の発表作品から伺い知られるところがあり、商業主義で彼も動いているのであろうが、多分彼はノーベル文学賞を授与するということには寝耳に水で返答するのに時間がかかっただけなのであろう。
ただ、ボブディランが取った行動がエンターテイメントになっており、充分力学が作用しているのであの人のところにはお金も集まる。そういうこともあって、ボブディランが人間には問いかけに返答しない自由があるという基本的なことを充分提起しており、それだけでも彼にはノーベル文学賞は相等で、充分周りを引っ張り回して面白いショービジネスをしているのであろうとやんわり理解している。