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リヒャルト・ゲルストルの絵をふと思い出す。クラシックの迷宮「シェーンベルクとユダヤ的なるもの〜生誕150年に寄せて〜」

シェーンベルクのユダヤ人的側面から活動を追った番組を視聴した。

おおまかな流れとしては、世紀末ウィーンの中でユダヤ人差別を経験し、1926年にベルリンに渡った際のナチズム的空気、そして第二次世界大戦と後に発覚した大虐殺。フランスでプロテスタントからユダヤ教に戻り、アメリカに渡ってシオニズムに関心を持ちながら活動した内容が楽曲解説とともに語られた。

相変わらず超人的な知識による語りは大変興味深く、メモを取りながら楽しんだのだが、シェーンベルクと言うと私は画家のリヒャルト・ゲルストルを思い出していた。

有名な話だが、ゲルストルとシェーンベルクの妻は不倫をしていて、ゲルストルは25歳で自らの身体を切り裂いた上で首を吊った。

2023年に東京都美術館で行われた「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」でゲルストルの絵が7点来日した。中でも自画像は今でもはっきりと印象に残っている。

エゴン・シーレの女性遍歴も大変イカれているし、ゲルストルにしろココシュカとマーラーにしろ、なんと奔放なことか。などと下世話なことをつい考えてしまうが、やはりその時代の空気に思いを馳せてしまう。日本の大正〜昭和初期のような、急激な工業化・都市化による「一部の」富裕化、花開く文化、戦争の足音といった不安。この危うさが産む芸術に、なぜか心惹かれる。

ウィーンの近代画家というとゲルストルは特殊だと思う。
クリムトのような装飾性、エゴン・シーレのような洗練性とは違い、後の表現主義の先駆けだと聞く。

ゲルストルが描いたシェーンベルク一家。かなり強烈な作品だと思う。
そんなことを思いながら、シェーンベルクを聴いた。


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