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山口一人旅 2023年10月
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雪舟庭 坂本龍一+YCAM Forest Symphony
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樹木の電位差を計測しサウンドに変換するという、アイディアと行為そのものが現代美術的。木の生命を可視化ならぬ可音化するというのは、普段目に見えない風を葉の揺れや音で可視化・可音化するという自然界の出来事を再現してるようにも思える。
美しき雪舟庭という最高のロケーションにはもうひとつ利点があり、自然音と混じり合うということだ。風の音や虫の鳴き声と、坂本サウンドが混じり合う。これはジョン・ケージの4分33秒がピアノの開け締めの音、タイマーを押す音、観客の呼吸音なども含めた作品であるということと同じである。
また、雪舟庭に仕込まれたマイクの音が別のスピーカーからほぼリアルタイムで聞こえるようになっている。誰かが砂利の上を歩く音が混じってきたりする。これは勝手な解釈だが、李禹煥の作品にあった「鑑賞者が発する音その"もの"も作品である」までも含んでいるように思えてならない。
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ちゃらんぽらん
後輩に教えてもらったお店「ちゃらんぽらん」でごはん。
人気店だったが、一人客でも丁寧に対応してくれた。
しっかりしたお通し。
揚げ焼売の下には湯葉が敷いてある。
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山口名物の蒲鉾。
海苔の佃煮が添えられていている。
わさび醤油も美味いが、海苔の佃煮との組み合わせは驚くほど美味しかった。
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鶏皮せんべい。1枚150円から注文可能。
キャベツにすだち付き。
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穴がひとつ多い岩国れんこんん。
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大根の唐揚げ。
こんな料理初めて食べたが、美味い。
あたたかいうちに食べる。
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山口のお刺身。
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刺身には日本酒。
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山口県立美術館
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「コレクション特別企画 生誕110年 松田正平展」
初めて観る作家だったが、とっても楽しめた。山口でも長く過ごし、パリ留学、用賀・練馬、千葉など様々に移り住み、画風を変化させていった流れが分かるコレクション・ワンマン展示。
初期はゴッホ以降の油絵の具厚塗りだったが徐々に薄れていくのだが、後期のほうが好みだった。描かれるものは生活風景や野菜や魚などの食材、飼い犬や奥さんなど身近なものが多く、背景は少なく一点を描く。どことなく漫画チックで親しみやすい作風だが、旅先の漁師には「あんた下手だねえ」と言われていたというトホホなエピソードもどこかあったかい。
「毛利博物館所蔵「源氏物語絵巻」―はじめて出会う『源氏物語』」
源氏物語はざっくりとした知識しかなく、イケメン貴族でヤリチン大魔王の恋愛遍歴みたいな認識であった。お話としては全く興味がないが、絵巻を観るとその芸術性を感じることができた。すなわち、情景描写の素晴らしさである。草木や花、楽器が意味するところや、主人公男性の女々しさの描写などが文学的だなと思った。
「新指定・重要文化財紹介 雪舟と雲谷派」
山口といえば雪舟。氏の「四季山水図(山水長巻)」と、弟子であった雲谷の模写を並べて展示、さらに狩野派画家による模写も展示されていた。
丁寧で親しみやすいキャプション、靴を脱いで座って鑑賞できるように畳の設置など趣向を凝らした展示室ではおおいにくつろいだ。
驚きだったのはNTTドコモ協力による5GVRで雪舟の世界を感じられるコーナーがあった。VRヘッドセットを初めてつけることになった。私のVRバージンは雪舟に奪われたのであった。
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YCAM サテライト A 大友良英+青山泰知+伊藤隆之 「without records」
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2012年に東京都現代美術館で行われた坂本龍一をアドバイザーとして開催された「アートと音楽-新たな共感覚をもとめて」に展示されていた作品の縮小版再展示。
中古のレトロなレコードプレイヤーを集め、レコード盤を乗せずにターンテーブルを回した時の「音」を鑑賞する作品。
同時に鳴るわけではなく、順序はプログラムされていて約40分で一回りになるが、あらかじめずれるようにセットされているようで、同じ組み合わせは二度とないとのこと。
プレーヤーそのものを「もの派」的に鑑賞する試みとも言えるし、大量生産され用済みとなったモノに光を当てるというのはポップ・アートな側面もある。
音や動きをしばらく観察する。カリカリとした音やキンキンとした音などモノによって発する音は多彩。ターンテーブルは規則的に回るのでリズムになったりもする。
時々内蔵スピーカーからノイズが出るようになっていて、たまにそれが和音(7thだった)になったりもした。
苦手な周波数(金属を擦る音)もあったし、犬の鳴き声のような音もあった。
持ち主も鑑賞者も居ないのに動く工業製品を見ていると、墓場のゾンビのようにも思えてくる。
過去の持ち主が何を聴いて、その後どんな人生を歩んだのか、といった妄想もできる。
ワンアイディアによる作品だと思うが、予想以上に想像力をかきたてられる作品だった。
瓦そば柳屋
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山口名物、瓦そば初体験。
熱した瓦に茹でた蕎麦を乗せ、瓦側の蕎麦が熱でパリパリになっていく。
錦糸卵と牛肉をつまみながら、甘めの蕎麦つゆでいただく。
後半は薬味にレモンともみじおろし。
焼けた蕎麦の食感が楽しい。
中原中也記念館
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詩のことは詳しくないが、せっかく湯田温泉付近を訪れたので鑑賞した。
戦前のモダン詩人くらいしか知らなかったが、ダダイスム詩が出発点だったと知り興味が湧いた。確かにダダイスムは詩の朗読も活動内容にあった。
「サーカス」「汚れちまつた〜」くらいしか知らなかったが、考えてみると「サーカス」にある擬音語「ゆよーん」はちょっと衝撃だった。
そこで思い出したのは、シチュアシオニストの前身となったレトリスム(文字主義)だ。戦争の混乱から言論統制が強まる中で、言葉の意味を放棄し「文字」を主体とした活動をしていたらしい。
中原のオノマトペ(擬音表現)はそのルーツとも言えるのではないだろうか、なんてことを想像した。
山口情報芸術センター[YCAM]
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なんの展示が開催されているわけでもないが、磯崎新建築は体験せねばならないと思い足を運んでみた。中にはギャラリーや映画館、演劇舞台、図書館が併設されている。あちこちに置かれたチラシやフリーペーパーを見ると美術、音楽、映画、芝居、落語、ダンスなどあらゆる芸術についての情報がある。
ここは文化発信の拠点なのだ。
椅子にぽつんと座っていると、映画のチラシを取りまくっている女性が居た。その女性が近づいてきて話しかけてきた。
「昨日、雪舟庭でお会いしましたよね」
あ。坂本龍一の展示で、いろいろ説明してくれたスタッフさんだ。
「今日は映画を見に来たんです」
と言っていた。
彼女も芸術に寄り添って生きている人なんだな。
そんなこと珍しいことじゃないのだろうけれど。
自分も、どちらかというとそっち側なんだよなと思うと、なんか嬉しくなった。
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