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「政治的擬態」分かる図鑑が欲しい

 アジサイの葉に、きれいな模様をしたアゲハチョウが止まっていた。前の羽(はね)は光沢のあるいぶし銀の色に、特徴的な枝分かれをした黒い翅脈(しみゃく)が描かれている。後の羽には縁が長く伸びた尾状突起があり、濃いオレンジ色の丸い斑紋も付いている。でも、普段見かけるクロアゲハとは違っており、記録しようと思った。

 急いで書斎に戻り、デジタルカメラを手に庭に取って返した。葉から逃げないうちに3枚余り写真に撮った。早速パソコンで画像を拡大しゆっくり観察してみる。全体的に小ぶりだし、触角の形がチョウではないし、なんとなくアゲハと雰囲気が違う。昆虫図鑑をたくさん持っている小3の孫に、SNSで写真を送り尋ねてみた。

 アゲハモドキという「蛾(が)」だった。「蝶(ちょう)」のジャコウアゲハは、幼虫時代に毒草を食べて体内に毒をため、天敵の蜂や鳥から身を守っている。アゲハモドキは毒草が食べられないので、ジャコウアゲハそっくりに「擬態」し自衛しているそうだ。蛾は夜行性と言われるが、昼間に飛行するなど活動時間もアゲハに寄せている。

 擬態は数十万年、数百万年という年月をかけ、遺伝子レベルまで変化させたとの研究がある。祖先の文字通りのバタフライエフェクト(効果)による、命がけのチャレンジだったのだろう。

 一方で、選挙期間中は「国民、市民のために全力で働きます」と声高に叫びながら、当選した途端に私利・私欲に走る政治家を何人も見てきた。しかも批判を受けても、その地位にしがみつき続ける。残念なことに「政治的擬態」を見分ける図鑑が欲しくなるほどだ。

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