「BEASTARS」肉食と草食の魂のぶつかりあい!種族を超えて生を問う。
今回の漫画は、板垣巴留著の「BEASTARS(ビースターズ)」
擬人化された肉食動物と草食動物が暮らす学生生活を描いた、異色のもふもふジュブナイルです。こんなすごい作品が平成~令和の時代に出てくるなんてかの手塚治虫先生もびっくり。
それでは、あらすじに行きましょう!
「BEASTARS」のあらすじ
【漫画版のあらすじ】
肉食獣と草食獣が共存する世界。そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。
チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。
そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇!!
引用元:Amazon「BEASTARS」
【アニメ版のあらすじ】
肉食獣と草食獣の共存する世界。
食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。
犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。
そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。
次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。
『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。
だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。
夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――
小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。
その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。
我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。
腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。
しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。
彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?
オスとメス、肉食獣と草食獣。
それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった
引用元:「BEASTARS」official
本屋で平積みされていることが多いので、表紙を見たことがある方もいるかもしれませんね。
あの動物のやつです。(説明)
この世界では肉食動物と草食動物が共存していて、肉食が草食を喰らうことは「食殺(しょくさつ)」として罪に問われます。
(肉食のタンパク源としては昆虫食と無精卵はOKになっている模様)
そんな中、ある一人の生徒が学校の敷地内で食殺される事件が勃発。
一体犯人は誰なのか??というところから物語は始まります。
主人公は、気の弱い灰色オオカミのレゴシ。前半は彼を中心に事件の真相に迫っていくことに。
そしてあろうことかこのレゴシ、体格が3倍以上も違うウサギのハルに恋をしてしまう。
しかもライバルは学校で一番のイケメン・アカシカのルイ。
彼の恋のゆくえも気になるところです。
「BEASTARS」の超個人的感想
大事な人のために戦う少年漫画的な要素もありロマンスもあり。
設定としては異色なんですが、エンターテイメント要素鬼盛りのめちゃくちゃ贅沢な作品でした!
ハルちゃんは色っぽいですね~(しみじみ)
小さなウサギの姿をした女の子なんですが、以外にも気が強いビッチ。
オスたちはみんなこの顔を見て「守ってあげたい」とか「俺が傍にいなくちゃ」とか勝手に思い込んで近寄ってきて……幻想と違うと分かると食い散らかして去っていく
彼女はかわいらしい外見がゆえに勝手にひがまれ、中身を判断され、見くびられる。
一方のレゴシは、肉食に生まれてしまったがゆえに周りを怯えさせ、怖がらせてしまう。
今までと特に変わらないから 大丈夫
怖がられても嫌われても そうやって生きてきた
俺が…オオカミが強いってことに希望はないから
この関係性、なにかに似ていないでしょうか?
そう、男と女の格差です。
板垣先生は肉食動物と草食動物の格差を利用して、人間の実社会にはびこる差別や格差に大きな問いを投げかけているような気がします。
男というだけで強者。
女というだけで奪われる。
そんな風に絶対にあってはならないはずの暗黙のルールが、体の違いというだけで確かに存在する。そこに生きる私たちは、一体何を考え行動していかなければいけないのか。
展開に胸が熱くなりながらもとりあえず全男はこれ読んで猛反省すべきでは?と感じた作品でした。
私は手塚治虫先生の描く擬人化キャラクターが大好きなんですが、それを彷彿とさせるような人間と動物を融合させたキャラデザインも見事に成功していると思います。
「BEASTARS」が好きな人にはこんな漫画がおすすめ
毛色は違いますが、女性誌からこちら。
ヤマシタトモコ著「HER(ハー)」
漫画から学ぶフェミニズムシリーズ第二弾です!
女性の視点から描かれた作品はやはり気づきが多いですね。ヤマシタ先生は心情描写の名手でもあり、男でも共感性がぱない。
胸に迫るものがあります。ぜひ!