実施基準 三 9 監査人が経営者から書面をもって確認しなければならない事項
◆経営者確認書
特定の事項を確認するため又は他の監査証拠を裏付けるため、経営者が監査人に提出する書面による陳述をいう。
経営者確認書は、財務諸表、財務諸表におけるアサーション又はこれらの基礎となる帳簿及び記録を含まない。
監査人が必要と認めた事項について経営者から書面により陳述を得ることが本来の趣旨である。
<確認する事項>
・適正な財務諸表を作成する責任は経営者にあること
・財務諸表の作成に関する基本的な事項
・経営者は監査の実施に必要な資料を全て開示したこと
・監査人が必要と判断した事項
・監査実施時の確認事項についての文書による再確認及び追加確認
・内部統制を構築・維持する責任が経営者にあること
・重要な偶発事象、後発事象等に関する確認
・継続企業の前提に係る事項
・経営者が採用した会計方針に係る事項
・経営者の意思や判断に依存している事項についての確認
経営者確認書の入手は、監査手続の一部を構成するものであるが、特定のアサーションに関する監査手続を代替するものではない。
経営者確認書の入手
→監査証拠を入手するための監査手続、批判機能の発揮
経営者確認書が入手できない場合、監査上の取扱いとしては、意見不表明を検討することになる。
■監査基準の改訂2002
★監査上の重要性について
監査計画の策定と監査の実施、監査証拠の評価ならびに意見形成のすべてに関わる監査人の判断の規準であり、次のように適用される。
(4)監査人は、監査を実施する上で一部の監査手続を実施できなかったり、必要な証拠の提供を得られないなどの制約を受けた場合に、当該事実が影響する事項を除外した上で意見を表明するか又は意見の表明をしないかを判断するが、この場合の判断の規準も監査上の重要性の一部となる。
★経営者からの書面による確認
監査人は必要に応じて会計上の見積りに関する経営者の確認書を入手する。
監査人は、経営者が会計上の見積りを行う際に使用した重要な仮定が合理的であると判断しているかどうかについて、経営者確認書を入手しなければならない。
◆監査の前提条件
経営者が財務諸表の作成に当たり、受入可能な財務報告の枠組みを使用すること及び経営者が監査実施の前提に合意することをいう。
経営者確認書の意義は、財務諸表に関するいわゆる二重責任の原則を確認して監査制度に対する社会的信頼を高めていくことである。(2006)