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アルコール依存症だったジャック・レモン
ジャック・レモンとリー・レミック主演による1962年の「酒とバラの日々」。これはもう、なんとも憂鬱な映画だった。記憶にあった同名主題歌にひかれて何の気なしにテレビのチャンネルをひねり、映画を見始めたのはいいものの、次第に救いようのない気分になった。
ほの甘いメロディに乗せて、「ワインとバラの幸せな日々は、もう戻ってこない」と歌う主題歌は、作詞ジョニー・マーサー、作曲ヘンリー・マンシーニという黄金のコンビによる楽曲だ。
映画を観る前に聞いていた時には、平和な気分をかもしていると聞こえたメロディが、アルコール依存症によって仕事を失い、住む家も失ってしまうという夫婦の行く末を見終わった後には、まるで違った印象となった。物語の苦い後味を、慈愛の眼差しをもって緩和しているように思えた。
後年のテレビ番組「アクターズ・スタジオ・インタビュー」において、ジャック・レモン自身が、アルコール依存症だったことを告白している。いつもの軽妙でおかしみに満ちた彼のトークとは全く違う、重い口ぶりだった。アルコール依存症がもたらす悲惨と恐怖を描いた映画を撮影しているその時に、なんと主人公役の名優がアルコール依存症だったとは。これを聞く司会のジェームズ・リプトンが、心底から驚いた表情をしていたことが忘れられない。
下記の映像の20分22秒あたりに、このジャック・レモンのインタビュー映像がある。
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