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リッキー・リー・ジョーンズがうたう親しい友人のような歌

アンダー・ザ・ボードウォーク

「アンダー・ザ・ボードウォーク」と言えば、ザ・ドリフターズによる1964年全米4位のヒット。海岸沿いに設けられたボードウォークこと、木造の遊歩道の下に若い男女がもぐりこみ、ホットドッグやフレンチフライを楽しみながら、愛を語る歌だ。

オリジナルのドリーフターズ盤のヒット直後にカバーを発表したローリングストーンズを始め、数多くのアーチストが取り上げてきた。

すでに何回も耳にしていたこの歌を改めていいと思ったのは、1983年に発表されたアナログ10インチによるライヴ・アルバム「Girl At Her Volcano」(日本盤では「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」)に収録されたリッキー・リー・ジョーンズによるヴァージョンを聴いてからだ。

「アンダー・ザ・ボードウォーク」がヒットした時、彼女は10歳だった。まるで捨て子のような仕打ちをうけ、家出を繰り返しながら育ったリッキー・リー。もしかすると「アンダー・ザ・ボードウォーク」は、独りぼっちの寄る辺ない彼女にとって、親しい友人のような歌の一つだったのかもしれない。

1991年には「ハー・リリー、ハイ・ロー」「バイ・バイ・ブラックバード」「ただひとつの恋」など、幼い頃からの長年のフェイバリット・ナンバーを独自に再演したアルバム「Pop Pop」を発表した。この「Pop Pop」を聴いてから今一度、「アンダー・ザ・ボードウォーク」を聴き直すと、両者が繋がっていることがわかり、そして彼女がこの歌を採り上げた意図が、よりはっきりしてくるはずだ。

遊歩道の下に潜り込むカップルを歌う彼女の声が、若い二人を慈しみ励ましている。そんな風にボクには聴こえる。

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かつてハイファイ・レコード・ストアで働いていた頃、毎週金曜日に発行しているメルマガに、ちょっとした雑文を掲載していました。これは「ポピュラー・ソング雑記帳」と題するシリーズ・コラムのとある回。いつ書いたんだろう、忘れてしまったな。
そんな雑文を、こちらにアップしてみました。

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