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写真と詩

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leicaで撮影した写真と、その風景から感じた詩を載せています。
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2024年2月の記事一覧

写真展「中平卓馬 火―氾濫」

東京国立現代美術館にて「中平卓馬 火―氾濫」展を拝見してきた。 中平卓馬氏は1960 年代末から70 年代半ばにかけ写真について実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家だ。恥ずかしながら僕はこの写真家を詳しく知らなかった。写真表現は「日常を非日常に捉え直す」そんな印象だった。 モノクロでしか写真を表現できない時代、あえて「写真との関連性から引き離し写真独自として作品成立させたい」と思わせる作品ばかりである。その代表的な作品が「provogue(プロボーグ)」だろう。

「東京クローズド」

東京が雪の洗礼を受ける 人々は戸惑う それはサヨナラが言えない思いに似てる もう会えなくなるのに 集まってくる光の粒 見下ろす僕らの世界 だるい空気 息が苦しく あの日から 雪の螺旋から抜け出せない それを留めることはできないのだから 僕はあきらめて カメラを持って東京駅へ 探している写真を求めて 雪という不誠実さに導かれ 激しいカミナリさえも凍える いくつもの翼が消えていく 何もない空 僕がここにいると手を振ったとしても 希望や理想より誠実な雪 白さに偽りはない