「僕はモノクロ写真が好きだ」
「僕はモノクロ写真が好きだ」
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今日はモノクロ専用機で海へ出かけた
雲は分厚さを増して、その動きは鈍い
きっと動かない季節としてなのだろう
同じ季節なんてないのだ
雲の先には本当の冬が横たわっているのだろう
太陽が見えずとも波は繰り返し迷い込む
静かすぎる海は、意味を求めているようだ
足元に波と砂が目覚めていく
そびえる風車 動かないことで存在感を増す
すべてさらっていく風は訪れない
僕は決心したようにシャッターを切る
それは少し重い決断のようだ
今は見えないもの