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警告!この記事を読んではいけない45「銃」について12<空母2>

第二次世界大戦以来、地域紛争は絶え間なくありますが、空母艦隊が大挙して出撃して戦闘状態に入ることなどありませんでした。ところが1982年にそれが起こったのです。誰もが知るフォークランド紛争です。イギリスとアルゼンチンの戦争です。

第2次大戦後、初めての大規模戦闘なので、全世界が注目しました。北半球のイギリスが、南半球のアルゼンチンまで出向いて行って、フォークランドを取り返そうとしたのです。ちゃんと勝って取り返したみたいです。しかし艦隊を派遣してすぐ、つまり緒戦でイギリスは、駆逐艦シェフィールドと、コンテナ船アトランティック・コンベアを撃沈されてしましました。

世界に冠たるイギリス海軍が、全世界が注目する中で大恥をかいたのです。まあこの状況、誰も予想していなかったと思います。私も、まさかアルゼンチンが、イギリスの艦艇を、それも2隻も一度に撃沈するなど、本当に驚きました。何に驚いたかというと、イギリス海軍の対空防御力が、全くお粗末であることに驚いたのです。                     今日はこのお話をしたいと思います。

フォークランド紛争です。

直ぐに世界中に報道されました。でも報道されたのは次のような事実です。

アルゼンチン軍は、攻撃機シュペル・エタンダールに搭載されていた空対艦ミサイル「エグゾセ」を発射、イギリス海軍の駆逐艦シェフィールドとコンテナ船アトランティック・コンベアを撃沈した。この攻撃により、その直後から「エグゾセ」の値段は数倍に跳ね上がった。

報道は、ほぼここまででしたが、この事実で空対艦ミサイル「エグゾセ」のみならず、攻撃機シュペル・エタンダールも有名になりました。1978年から実戦配備された攻撃機ですから、当時としてはそうそう古い機体ではなかったはずですが、フランスのダッソー社の開発した攻撃機にしては、いかにも低性能で、注目すべきは、速度が音速すら出せない事と、攻撃機と言うには、あまりに兵装搭載量が小さかったことくらいでしょうか。

緒戦での英国海軍艦2隻撃沈で判った事

この記事、真実の暴露記事になってしまいそうです(笑) 本当にこの緒戦、なんと申しますか、私のように軍事趣味の人間にとっては、目の当たりにする初めての実戦でしたし、興奮もしました。そして軍事雑誌を読みふける者にとっては、データ上のスペック(性能)と、実戦での使用が、いかにかけ離れてしまうものなのかを知る、絶好の機会ともなりました。

もっとわかりやすく一言で言ってしまうと「両軍とも戦闘がお粗末」な状況を目の当たりにして、笑っていいのか、嘆くべきなのか、迷うような状況でした(笑)。私は本当の事を言ってしまうのが好きなので、この記事でも本当のことを言ってしまいましょうね。まあ市販されている軍事雑誌に書いてあることなんですが(笑)。

まず、アルゼンチン軍です。イギリスとの国力の差はいかんともしがたく、それでも、一度始めてしまった戦争ですから、後戻りできません。やるしかなかったんです。だからこそ先制攻撃をしてイギリスの出鼻を挫く、という戦果を挙げたかったでしょうね。これ、まるで1982年の直前、1979年の日本で放映されたアニメ、機動戦士ガンダムの地球連邦とジオン公国の戦争にそっくりですね(笑)。まさか真似したんぢゃないでしょうね(大笑)。

さあ、いよいよアルゼンチン軍は、イギリスの空母艦隊に先制攻撃を始めました!敵は空母艦隊です。ならば当然、まずは空母を撃沈してしまえば、イギリスの出鼻を大きく挫くことができます。ここはセオリー通り、空母を狙ったんです。ところが撃沈されたのは、駆逐艦とコンテナ船でした(笑)。

アルゼンチン軍がまずお粗末だったのは、目標を誤認したことです。駆逐艦シェフィールドは、本当にこの駆逐艦を狙ったのかもしれません。しかし、コンテナ船の方は、空母ハーミーズだと思い込んで、つまり誤認して攻撃したんだそうです。空母とコンテナ船、見誤るものでしょうかね?普通は、よく確認してから攻撃目標にするものですけどね。

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次にお粗末だったのは、攻撃機のシュペル・エタンダールと対艦ミサイルのエグゾセです。シュペル・エタンダールの低性能ぶりは、先ほどお話しした通りです。でもまあ、これしか持ってなかったんですから、仕方ありません。これを使うしかないんです。

問題はエグゾセです。戦争終了後、このミサイル、高値で飛ぶように売れたらしいですが、その状況笑っちゃいますよ。そんなにこのミサイル、欲しかったんですか?データ上のスペックで言えば、日本の当時の対艦ミサイル、ASM-1の方が、高性能ですよ。もっとも日本は武器を輸出できませんから、お金出しても買う事ができないんですけどね。

さてこのエグゾセです。音速も出ないんです。攻撃機から発射する対艦ミサイルが音速出ないって、当時としてもかなり低性能だと思いますが、いかがでしょう?それに、このミサイル、確かに駆逐艦シェフィールドに命中して撃沈しましたよ。ですがその命中の様子、知っていますか?

当りました。でも信じられない事に、このミサイル、弾頭が爆発しなかったんです。つまり不発だったんです。確かにミサイル本体は命中しました。しかし弾頭が爆発しない、では何故撃沈になったのか。真相はこうです。命中したミサイルは、弾頭が爆発はしませんでしたが、残っていた燃料が、シェフィールドに降りかかり、火災を起こしたんです。

駆逐艦が火災を起こした。消火装備が充実していれば、消し止められたかもしれません。が、この火災によってシェフィールドのダメージコントロール機能が破壊されたようなのです。これにより、シェフィールドはダメージから艦を立て直すことができなくなりました。で、あえなく沈没したのです。

もう一つ、コンテナ船のアトランティック・コンベアでも同じことが起こりました。ミサイルが不発だったのです。弾頭はまたしても爆発しませんでした。そしてやはり、ミサイルの残燃料がこのコンテナ船を沈没させたのです。ここまで重なれば、もう明白です。このミサイルは欠陥ミサイルです。

ミサイルって、弾頭が爆発するからミサイルなんです。これが爆発しないなんて、いくつかの幸運が重なって撃沈できたものの、爆発しない弾頭を積んで、何しようとしたんですか?って感じです。そしてこの欠陥ミサイルを、各国がこぞって高値で買い求めたというんですから、信じられません。

もっとも、この音速も出ないミサイルとしては遅い速度のミサイルを、打ち落とせなかったイギリス海軍も、恥ずかしいですけどね。

いろいろ笑える、というか笑えない要素もあったこのフォークランド紛争の緒戦ですが、えてして実戦とはこういうものなのです。データ通りにいかないんです。スペックがその通りに発揮できないんです。予想しない事がたくさん起こるんです。これが実戦であり、これが戦争です。

これもし、この2隻の撃沈が、イギリスの派遣した2隻の空母で、空母が2隻とも沈められていたなら、イギリス海軍は、引き揚げちゃったかもしれませんね。もちろんアルゼンチン軍はそれを狙っていた訳ですが。でも、双方とも、そうそう上手く狙い通りに、いきませんでしたね。

今日はここまでにします。フォークランド紛争で盛り上がっちゃいました(笑)。この紛争、あと一つ、どうしてもお伝えしたいお話があります。涙ぐましいというか・・・イギリス空軍のお話しです。ではまた次回。


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