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警告!この記事を読んではいけない76「銃」について42<飛行機の機動と静安定7>

皆さま、メリークリスマスっ!🎄🎄🎄

今日はクリスマス🎄イヴです。いかがお過ごしですか?私は普段と何も変わらぬ一日を過ごしています(笑)。明日、ちいとイヴェントがありまして、私は小心者ですのでビクビクです(誰も信じてくれませんが)💦 皆様は良いクリスマスをお過ごしください(^_-)-☆

超音速旅客機は、歴史から消えてしまった

前回の記事、コンコルドのお話をして終わりました。まずは少し復習しましょう。コンコルドはカッコよかったです。それまでに見たこともないような旅客機でした。怪鳥と言われていました。離着陸時に機種が下に折れ曲がって、キャノピーが見え始めるところなんか、本当に鳥の嘴のようでした。

しかしコンコルドだけでなく、1970年代に多く構想された超音速旅客機は、商業的に不向きであることが露呈し、この世から姿を消したのでした。一言で言えば、旅客機が超音速を出すためには、様々な事を犠牲にしてそれを実現せねばならず、それにはお金がかかりすぎ、採算が取れない、という事だった訳です。

では、少々戻って、飛行機の静安定のお話しです。

戦闘機は昔は手動で「静安定」を作り出していた

「静安定」状態を作り出す事は難しいです。実際の空気中、現実の空の中では、どんなにきちんと作っても、飛行機はちゃんと真っすぐ飛べるわけではないです。現実の空は、空気密度は一定ではない上、風が吹くと、飛行機はすぐに風に押されて同じ姿勢を保つのが困難になります。

飛行機というものが世界に登場し始めた頃、飛行機は小さかったです。紅の豚の戦闘飛行艇を思い出してみましょう。人間の乗る胴体を長くして、後端に尾翼を取り付け、当時は多くの場合、主翼は胴体の上にありました。高翼配置というやつです。そして機体のどこかに、自動車のエンジンの少し大きめのような、同じ形式のエンジンを載せていました。

さあようやく静安定のお話しです。飛行機がフラフラせずに、安定して真っすぐに飛ぶためには、どんな事をする必要があったのでしょうか。紅の豚、つまり第一次大戦らへんの頃から動翼はたくさんありました。様々な動翼を、いつもいつも四六時中、細かく細かく動かし続けて、飛んでいました。

これは、本当に大変な労力でした。しかしそれは、飛行機が安定して飛ぶために、どうしても必要な事でした。当時の飛行機の全て、特に戦闘機、戦闘艇などの場合は特に、この静安定を得るために、パイロットはとんでもない労力をかけていたのでした。

そしてこの状態は、ベトナム戦争終結後の1970年代あたりまで、ずっと続いていました。戦闘機パイロットが、静安定を得るために、飛行機の様々な動翼を、常に常に動かし続ける労力から解放されるのは、Fー16に搭載された、フライバイワイヤーシステム・・・自動静安定装置が開発されてからでした。

旅客機はどうだったのでしょう。第二次大戦時あたりから、旅客機らしい飛行機が少しずつ作られ始めました。旅客機に求められたのは、まず安全性でした。お客さんを運ぶわけですから、事故が起こらないよう、あらゆる工夫が施されました。その第一は安定した飛行ができる事、つまり静安定です。

旅客機の場合は、操縦士が「真っすぐ飛ぼう」と思ったら、思った通りに真っすぐ飛ぶ必要がありました。そのため空気の流れに多少の変化があったとしても、その変化に戦闘機のように常に動翼を動かして対応するのではなく、操縦桿を殆ど動かさなくても真っすぐ飛ぶように作られていました。

多少の気流の乱れなど、ものともせずに、ひたすら真っすぐ飛ぶ能力、これを作り出すのは大変ですが、機体形状や主翼や尾翼の配置や大きさなどで、気流の乱れによる飛行機の姿勢変化を最小限度に抑えるように設計されているのです。静安定最優先、これが旅客機の形状です。

こうして航空力学を駆使し、膨大な実験を繰り返し、試作しては改良しを繰り返し、静安定に特化した飛行機として、旅客機は作られました。人間は、素晴らしい飛行機を作り上げたのです。しかし、その素晴らしい静安定能力を持たせるため、旅客機は、ある機能を大幅に犠牲にしたのでした。

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それは「機動性」です。もうかなりお話ししましたのでお判りだと思いますが、機動とは、飛行機が上昇したり下降したり、増速したり減速したり、右旋回したり左旋回したり、宙返りしたり、背面飛行したり、などなど、空中で自由に動き回ろうとすることです。

機動と静安定は、両立しない

飛行機が静安定を得ようとすれば、それはできなくはありません。そうやってできたのが旅客機です。しかしそれを得るためには、飛行機自身が常に遭遇している気流の変化を受け付けない事が必要になります。言い換えれば、気流の変化に鈍感になればよいわけです。

多少の気流の変化に影響されない、つまり気流の変化に鈍感になるという事は、同時に、動翼を動かしても、あまり急激で大きな変化は得られなくなってしまうのです。だから旅客機も、最低限の機動は、もちろんできるのですが、鈍く鈍く、ゆ~っくりと動くのです。これが、旅客機なのです。

では、戦闘機はどうでしょうか。旅客機のように、鈍く鈍く、ゆ~っくりと動いていたのでは、敵の攻撃などかわせません。戦闘には、敵の攻撃をかわしたり、自分が素早く最適の攻撃位置を確保するために、可能な限り敏捷な動きが求められたのです。

そして、素早く動くためには、ほんの少しの動翼の動きで、急激に、大幅な動きをするように作らなければなりません。言い換えれば、気流の変化に敏感に対応し、あるいは、動翼のほんの少しの動きで、機体全体が、ガバッと動くように、自分の周囲の気流を変化させる能力が求められたのです。

こうして戦闘機は、上下左右の動きや増速減速が、急速に大幅にできるように工夫されました。そしてこの能力を得るためには、気流の動きに左右されない能力、静安定能力を、犠牲にする必要がありました。なので戦闘機は、静安定能力に関しては、非常に不安定な飛行機です。

つまり戦闘機は常にフラフラ飛んでいるのです。実は戦闘機だけではありません。高機動能力を必要とする飛行機は皆、静安定能力が極めて低く、常にフラフラと飛んでいるのです。操縦士が常に常に、動翼を細かく細かく動かし続けていないと、真っすぐ飛ぶことなどできないのです。

現在は、Fー16のお話しで出た「自動静安定装置」というのが在りまして、戦闘機パイロットは、四六時中の動翼動かしから解放されて、操縦桿をまっすぐ握っているだけで、細かい動翼動かしは全部コンピューターがやってくれるようになりましたが。

ああ、もう2800字を超えてしまいました💦。今日はここまでにします。でもようやく高機動と静安定のお話をすることができました。そして戦闘機には、いよいよ「銃」が載ります🙌次回は戦闘機搭載銃や、出来れば下記のような非常にオモシロい話題に入りたいです。


音速を超えるのは大変!
鳥さんは超音速では飛ばない(笑)

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