見出し画像

警告!この記事を読んではいけない84「銃」について50<戦闘機の搭載機銃7>

YOUTUBE始めました。風間真チャンネルはこちら→https://www.youtube.com/channel/UCSi6XBJoaK2pzgJ_hO0qtXw

現在、このシリーズでは、第2次大戦時の戦闘機の搭載機銃についてお話しています。そのお話も、大詰めです。最後の話題、アメリカ空軍の戦闘機の搭載機銃についてお話ししたいと思います。戦闘機の搭載機銃については、各国技術陣が血の滲むような努力と工夫をして、自国の戦闘機を最強にしようと頑張りました。アメリカの技術陣も、世界に誇る工夫をしました。

いやあ、アメリカはアメリカで凄かったんです。何がすごかったかと言うとその「合理性」です。合理性ではドイツ人もイギリス人も日本人も、負けてはいませんが、その「合理性」の種類が違いました。背景には、アメリカが4国の中で、最も国力に富んでいたという事が理由になると思います。

アメリカ人が考えた事 2

アメリカ人が第2次大戦時に戦闘機を作るにあたり、目標にしたのは、ただ一つです。「ゼロ戦に勝ちたい」です。そして本当にこれを実現してしまいました。その努力と工夫は本当に恐れ入ります。凄まじい執念と根性です。裏を返せば、ゼロ戦に対する劣等感が凄まじかったんでしょうね。そうでなければ、あそこまでやりませんよ、絶対に。だから、こう考えたのです。

少しずつでもいいから、全ての性能でゼロ戦を上回りたい・・・F6Fヘルキャットの誕生

アメリカ人は、ゼロ戦を徹底的に分析しました。そしてそれぞれの項目で、ほんの少しでいいから、確実にゼロ戦を上回る性能を持たせたんです。ではその項目を一つずつ見ていきましょう。少々前回の記事の復習も含みます。

1 防弾装備について

アメリカ人は、ゼロ戦は防弾装備がほぼ全くないという事に気づきました。「ゼロ戦という戦闘機は、驚異の運動性能を持ってはいるが、タマが1発当たれば火だるまになってしまう」事に気が付いてしまったのです。

そこでアメリカの戦闘機には充分な防弾装備を搭載しよう、と考えました。燃料タンクに分厚い防弾ゴム、キャノピーの前面は防弾ガラス、操縦席の前方に防弾版、特に操縦席の後ろには、分厚い防弾版を備えてました。つまりこの戦闘機「弾を撃たれて命中しても、撃墜されない」という恐ろしい戦闘機になったのです。これは、物凄い重量増加を招いてしまいました。しかしそれは別の方法で解決しました。

そりゃあいくら防弾版で囲っても、ゼロ戦の主翼からくる20ミリ砲が1発でも当たれば、さすがに粉砕されてしまいます。しかしゼロ戦の20ミリ砲は、主翼に各1丁ずつしかなく、しかも発射速度が遅いため、さらには携行弾数も少ないため、アメリカ人は「当たりっこない!」と考えたのです。

2 速度と上昇力

多大な防弾装備の為に、物凄い重量増加をしてしまったアメリカ戦闘機です。この重量で、ゼロ戦を上回る速度と上昇力を得るのは大変でした。しかし考え方は単純です。速度と上昇力を得るには、エンジンが強力ならば事足ります。そこでアメリカ人は、超強力なエンジンを載せることで、この問題を解決しました。

なんと、ゼロ戦の2倍近い出力のエンジンを載せたのです。結果、ヘルキャットのエンジン部分は、ずんぐりむっくりとした、誠に不格好なものとなりました。しかし格好がどうとか言っていられません。ゼロ戦を上回る速度と上昇力が得られさえすれば、格好など、どうでもよかったのです。そしてこの事は、さらなる重量増加を招きました。

3 堅牢な機体構造で、高機動に耐える

重量増加を招いたのは、高出力なエンジンと防弾装備だけではありません。ヘルキャットは、機体全体の構造も、極めて頑丈に作られました。そうでもしないと、ゼロ戦と互角の高機動など、得られなかったからです。この堅牢な機体構造が、またしても更なる重量増加を招きました。

画像1

4 武装・・・ここにアメリカ人の合理性の極致が見える!

アメリカ人の最もスゴイ考え方は、この武装に表れています。結論を先にお話しします。ヘルキャットとその前作のコルセアもそうですが、アメリカ戦闘機の武装は、6丁の12.7ミリ機銃です。これを3丁ずつ、主翼に装備していました。

これだけ聞くと、別にスゴイことではないのですが、その装備方法その他に、アメリカ人の合理性の凄さが見えます。そしてこの合理性が、最終的にゼロ戦を打ち破ったのですから、アメリカ人の考え方は、結果的に正しかったと言えます。

何がスゴカッタのか、順にお話ししましょう。まず、搭載機銃の種類です。12.7ミリ機銃、つまり50口径の重機関銃です。アメリカ軍は、歩兵銃以外の機関銃は、全てと言っていいほど、この12.7ミリ機銃でした。地上陣地の銃も、戦車の搭載機銃も、戦闘機の搭載機銃も、爆撃機の迎撃銃も、何もかもこの12.7ミリ機銃でした。

これは、物凄いメリットをもたらしました。ただでさえ工業立国で、生産性の優れたアメリカです。機銃の生産も、全てを同じにすることで効率が上がり、銃そのものの供給も、弾丸の供給も、全てが統一されているためどこに派遣されてもどこからの供給でも、同じ製品を受け取る事が出来たのです。

供給が容易という事は、軍事行動の際には兵站負荷が減り、大きな戦力アップにつながるのです。ここに、アメリカ人の合理性の凄さが見て取れます。

それだけではなく、このヘルキャット搭載機銃、カウル発射でもなければ、プロペラ軸内発射でもありません。複雑で面倒な機構を開発したり製作したりするのは、合理的ではありません。アメリカ人は、最も簡単な搭載方法を選びました。主翼内発射です。ここにも合理性が現れています。

そして、アメリカ人の合理性が最も端的に現れていたのが、搭載機銃の発射方向です。つまり搭載の仕方にアメリカ独特の工夫がなされていたのです!

今日はここまでにします。一番いいところでお話が終わってしまいますが、お楽しみは次回と言う事で(^_-)-☆

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?