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警告!この記事を読んではいけない59「銃」について26<艦載砲3>

前回の記事で、艦隊内の駆逐艦の役割について、お話ししました。今回は、まず他の艦種の紹介です。                         ➀ 超弩級戦艦 ② 大型戦艦 ③ 戦艦 ④ 重巡洋艦 ⑤ 巡洋艦    これらの艦種は、実は現在は一つも残っていません。

まずはその事実について、お話ししたいと思います。上記の艦種は、第二次大戦までは、どこの国にも存在していました。そしてその第二次大戦にて、「戦艦は航空機に勝てない」という厳しい現実を、各国が認識してしまったため、上記艦種は、徐々に姿を消していったのです。

上記五つの艦種は、艦の大きさとそれに伴う艦載砲の大きさを表すものではありますが機能的にはどれも同じで、大きさが違うだけなのです。そして、機能的に同じであるが故に、同じ理由で「航空機に勝てない」状態となり、「無用の長物」となり果てたのでした。

かつて各国は、第二次大戦当初までは、海軍の軍拡競争は大艦巨砲主義でした。巨大な砲を搭載して敵を撃つんです。当たると敵は沈没します。これを実現するために、少しでも大きな船を作ろうとしました。ところが、船よりも遥かに速度が速い、つまり「早すぎて撃ち落とせない」航空機が、

魚雷や爆弾で大型艦を狙うと、大型艦は速度が遅いですから、いい的になるだけの存在となり果てました。戦艦も巡洋艦も、航空機には勝てなかったんです。これ、ガンダムの世界で「戦艦はモビルスーツに勝てない」のと全く一緒です。そして戦艦は、かつて地球を我が物顔に闊歩していた恐竜のごとく、絶滅していったのでした。

さて、存在意義をなくした戦艦たちですが、海軍自体は生き残っています。艦隊とは、空母を中心として存在し、空母さえ安全に十全に戦闘に参加できれば良いわけですから、空母を守る艦隊としては、多数の駆逐艦で周囲を固めるんです。戦闘艦については、これで殆ど完成です。

あとは強襲揚陸艦とか、補給艦とか油槽艦とかはありますが、船自体が戦闘するのは、殆どの場合空母と駆逐艦だけになりました。40キロも先の敵艦を狙う巨砲は、ミサイルにとって代わり、近接対空防御は、空母艦載機の戦闘機や、各艦に搭載してあるバルカンファランクスがその任を担います。

駆逐艦にも砲はまだ残されています。バルカンファランクスは、主に飛んでくるミサイルを撃ち落とすためのものですから、近くまで来た敵艦を狙うには、やはり砲は必要です。これないと、乗組員は精神的に不安でしょうね。そして砲がある限り、砲術という学問が必要になり、砲術士官とは、この砲術に長けた人たちなのです。ではその「砲術」とは、なんなのでしょうか。

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砲術とは

砲術とは、発射した砲弾を、目標に正確に当てるための学問です。砲弾はまっすぐに飛ぶから、学問というほどの事はないんぢゃないの?という声が聞こえてきそうですが、実はそうではないのです。確かに砲とは、砲弾が出来るだけ遠くまで、まっすぐ飛ぶように作られています。

しかし、実は砲弾は、まっすぐには飛ばないんです。いろいろな物に邪魔されて、まっすぐ飛ばないんです。邪魔の1位は、重力です。物体は、それが砲弾であれ何であれ、質量がある限り、重力に引っ張られて、地面や水面に落ちていくんです。

弾道という言葉を聞いた事、ありますよね? 毎日ニュースで言ってます。北朝鮮が、弾道ミサイルを発射したとかなんとか。その単語「弾道」とは、本当に日常的に使われている単語なのに、それと意識して考察したり学んだりすることは、あまりないみたいです。なので、さらっとお話しましょう。

弾道とは、文字通り「弾の道」です。銃や砲から発射された弾丸や砲弾は、最初のうちは、ほぼまっすぐ進んでいますが、だんだん重力に引っ張られて地面や海面に落ちます。どんな軌道を描くかは、砲弾の質量と発射時の速度と地球の水平線に対する角度によって決まります。これが弾道です。

つまり弾道は、人間が石を持って投げた時と、基本的には同じです。質量と速度と発射角度で弾道は計算できるのです。もしも重力以外の邪魔要素がないならば、どのような軌道を描くかは、純粋に物理現象として計算でき、確定できるのです。ところがです。邪魔要素はほかにもあるんです。

邪魔の2位は、空気抵抗です。重力に比べるとわずかな邪魔です。しかし、この空気抵抗を計算するのは、物凄く難しいんです。何故かというと、空気抵抗の値は、様々な要素で変化しちゃうからです。重力のように、重力加速度9・8m毎秒なんて、一定の値ではないんです。

それは空気密度の変化です。空気密度は、気温、湿度によって変化します。これを全部正確に計算するなんて、ほぼ不可能です。だって、気温や湿度は一瞬ごとに変化し続けているんですから。これを計算するには、もう大雑把にだいたいの値を入力するしかないんです。なので、本当に正確な弾道計算て、この段階でできなくなっちゃうんです。

邪魔の2位は空気抵抗でしたが邪魔の3位は・・・「まだあるんかいっ?」という声が聞こえてきそうですが、あります。風です。風向と風速です。これは、空気抵抗とは別の要素として計算しなくてはなりません。何故かというと、風は全くない場合と、強風が吹いて、弾道が大幅に影響される場合があるからです。

邪魔の1位から3位までお話ししましたが、弾道はこのように、複雑な要素を全て計算しないと割り出すことができません。そして、これによって計算できた弾道は、まだまだそのまま実戦で使えるわけではありません。ここまでの計算は、あくまで「動かない自分」から「動かない目標」に対する弾道にすぎません。

実戦では、当然ですが自分は動いています。「止まって撃てばいいぢゃないかっ!」という声が聞こえてきそうですが、そうはいきません。止まれば、敵にとっては「当てやすい目標」になってしまいます。シャア・アズナブルもΖガンダムで言ってたじゃないですか。「動け!止まっていては・・・」って。

その止まっていた味方モビルスーツは、その直後撃墜されてしまいました。そういう訳で、自分は動かないと、すぐ撃たれちゃいます。なので相手も、必ず動いています。「動く目標に対して、自分も動きながら撃つ」んです。命中させるのは至難の業です。あまりに変動要素が多すぎるからです。

もうお判りだと思いますが、砲術とは、このような状況下で相手に命中弾を食らわせるにはどうしたらよいか、という学問です。非常に難しい学問なのです。戦闘艦の砲術士官て、本当に凄い人たちだと思います。しかし、このような砲術を修得した人にとっても、命中弾を食らわせるのは難しいです。

今日はここまでにします。これで、艦載砲、つまり船に載せた砲のお話は終わりです。次回はいよいよ、飛行機に載せた砲と機銃のお話しです。ここでも砲術のお話が出て来ます。航空機銃の砲術、うわあッ!大興奮ですっ!!すみません、一人で盛り上がっちゃってます(笑)

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