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警告!この記事を読んではいけない89「銃」について55<戦闘機の搭載機銃12>

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血眼になって速度を上げようとした時代 2

前回の記事の続きで、超音速のお話をしたいと思います。本当は、F104スターファイターのお話に入りたいのですが、その前に超音速戦闘機が登場したので、そちらをお話ししておかないと、104のお話もできない事に気が付いてしまいまして・・・

超音速とは、音速を超える速度の事です。私は物理学には疎いので、超音速という物理現象を詳細に解説はできません。が、超音速を出そうとするとどうなるか、飛行機の速度の観点から、この現象の概要をお話する事くらいは、不完全ながらなんとかできるかもしれません。

1960年代から1970年代は、各国とも戦闘機や爆撃機の速度を上げるため、どんなことでもした時代でした。本当に「気が狂ったように速度ばかりを追い求めていた」時代でした。「速度ばかり追い求めても無意味」なことに気づくのに、実は半世紀近くもかかっていたんです(笑)。

物体の速度が音速に近付くとどうなるか

どうなるかというと「抗力」が発生してしまって、それを突破しづらくなるんです。例えばターボプロップエンジン・・・これはジェットエンジンと同じくガスタービンエンジンで、ジェットエンジンが排気ガスの噴射の反作用を用いるのに対しタービンの回転力をプロペラの動力にするエンジンです。

プロペラを高速で回転させて、つまり扇風機にして、空気を後ろに流して、その力で飛行機を飛ばしているんですが、そのプロペラの先端が音速を超えようとすると「抗力」が発生して、つまり、プロペラが音速を超える事を嫌がるようになるんです。まあ、無理やり突破させることは可能です。

でも無理やり突破させると、今度はプロペラの先端にショックウエーブ、つまり衝撃波が発生して、周囲に広がり文字通り「衝撃」をもたらすんです。衝撃波が発生すると、周囲のエンジン部品を破壊しそうになったり、それが地上まで到達して、地上に被害をもたらしたりと、ロクでもない事がたくさん起こってしまいます。

なので、ターボプロップエンジンの場合は、プロペラの先端が音速を超えないようプロペラの回転速度を抑えてあるんです。低速でも充分な推力を得られるようにプロペラピッチを設計してあるんです。

飛行機の機体自体にも同じことが起こります。飛行機が高速で飛んでいて、音速を超えそうになると「抗力」が発生して音速を超えるのを嫌がります。急に抵抗が増すんです。まあこれも、無理やり突破する事が出来なくはありません。そして音速を超えると「衝撃波」が発生するんです。

飛行機が飛行中に、音速を突破しようとして、衝撃波を発生してしまうと、異常振動が起きたりして、最悪の場合には空中分解しそうになっちゃうんです。衝撃波は、音速を突破する際に発生するようなので、一度突破しちゃうと、その後の加速などでは発生しないみたいです。

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初めて音速を超えた飛行機は、公式にはベルXー1というロケット機です。1960年代当時は、まだジェットエンジンで音速を超えようとするには無理があったようです。その後Xシリーズは15まで作られたんですが、このXー15の公式記録としては音速の6.7倍、つまりマッハ6.7まで出せたそうです。この15も、ロケット機でした。

その後ジェットエンジンでも音速を超える事ができるようになり、遂には、戦闘機や偵察機ではなく、旅客機にも超音速性能を持たせようとした時代がありました。今思えば狂気の沙汰です。だって旅客機で超音速を出すには、空気との摩擦熱に耐えるように、

機体をチタン合金製の部分を作らなくちゃいけなかったり、超音速に耐える機体構造の為、極端に細いフォルムとなり、結果客室座席が横に4列しか作れなかったりしたんです。乗客をたくさん載せることができなかったため、運賃は超高額となり、結果採算がとれるようにはならなかったんです。

当たり前です。音速を超える事は、戦闘機や偵察機だって超大変なのに、なんでまた旅客機を超音速にする必要があったんでしょうかね。採算が取れない事なんて、最初から分かっていたはずですけどね。でも作りたかったんでしょうね。そして自慢したかったんでしょうね。

「わが社の旅客機はマッハ2を超えます!」って。そりゃあ気分いいかもしれませんが、それを実現するのに、恐ろしい開発費がかかり、運用費もけた違いになり、結果、もの好きな金持ちしか乗れない、それも狭い座席にギュウギュウに座らなくちゃ乗れない飛行機になり果てたのでした。

この飛行機、コンコルドと言います。イギリスとフランスの共同開発でした。1976年に運用が開始され、2003年に全機退役しました。

今日はここまでにします。結局、血眼になって超音速、超音速と言い続けた1960年代と70年代、実は超音速の飛行技術は、この時代に培われたものが現在も生きています。今や超音速は偵察機と、戦闘機と、一部の爆撃機にしか使われなくなりました。次回はそのようなお話です。

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