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2021年10月1日(金) 藤澤仁奈さんマリンバリサイタル 驚異的演奏会 驚きと感動 最上級のその上

2021年10月1日(金)初台の東京オペラシティリサイタルホールにて「藤澤仁奈マリンバリサイタル」が催され行ってきました。最上級のその上のようなリサイタルでした。なにか「見てはいけないものを見てしまった」あるいは「聴いてはいけないものを聴いてしまった」かのような演奏会。

教え子や知り合いに打楽器奏者が多いせいか、ずいぶんたくさんの打楽器演奏会に足を運んだ私です。感動したり、楽しかったり、上質な音楽に心を揺さぶられることも多々ありました。しかしこの夜ほど「信じられない」思いを抱いて帰った演奏会は、初めてでした。

今まで聴いたどの演奏会よりも、ブッチギリに凄まじい演奏会でした。技術も素晴らしかったのですが、それ以上に驚いたのは、藤澤仁奈さんは、全く違う傾向の様々な音楽に対し、どの音楽に対しても、深い理解と思いの強さ、別の言葉で言えば愛情を感じさせる演奏で、それに驚いたのです。

 生演奏は、技術レベルがあまりに高度だと、どこか悪魔的イメージを醸し出してしまうものですが、藤澤仁奈さんの纏っていたイメージに、悪魔はいませんでした(笑)。Nino-Ninaでデュオを組んでいる新野将之君が言っていた事を思い出します。

「藤澤さんのリサイタルは、スゴイですよ!スゴイですよ!スッゴイですよ!!」と、彼は3回言いました(笑)。新野君ほどの奏者にさえ、そこまで言わせる奏者って、どんな演奏をするのだろう、と思いながら、会場に入りました。

もちろん藤澤さんの演奏を聴くのは、初めてではありません。がソロリサイタルを聴くのは初めてでした。行きました。聴きました。そして驚愕しました。新野君の感想の意味がよくわかりました。本当に「スッゴイ」演奏でした。人間の2本の手でこんな音が出せるというのが信じられませんでした。

こんなマリンバ奏者がいるという事実を、多くのマリンバ奏者や打楽器奏者は、知らないほうが幸せでしょうね(笑)。これ見て聴いちゃうと、もう奏者としての自分を保てなくなるかもですよ。それでも見たいですか?どうなっても知りませんよ。ああ、また本当の事を言ってしまった(笑)。

私の知る限り藤澤仁奈さんは、最上のマリンバ奏者です。新野君はマルチパーカッショ二ストなので、同列比較はできないと思います。が、私は教え子にマリンバ奏者いますし、世界的なマリンバ奏者の演奏会にも行った事あります。しかし今回ほどの衝撃は、得られませんでした。

藤澤仁奈さんは、最上のマリンバ奏者なので、全体的感想として、なにか「見てはいけないものを見てしまった」あるいは「聴いてはいけないものを聴いてしまった」かのような感想を持ってしまったんです。藤澤仁奈さんは世界を席巻する事になるでしょう。あ、いや、すでにしてますね。

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 藤澤仁奈さんとは、今年6月に知り合ったばかり。ただ、彼女の演奏は、実はその1年以上前に聴いていました。2020年3月頃、私の教え子の打楽器奏者、新野将之君が「マリンバデュオの曲を書いてください」と言うので、書くことにしました。その時「もう一人の奏者の演奏です」と言って、聴かせてくれたのが、藤澤仁奈さんの演奏でした。

この時の記憶は鮮明です。驚いたからです。上手いんです。これ見よがしに技術をひけらかすような演奏ではないのに、恐ろしいテクニックを持っている事がすぐに判るような演奏。技術以上に音楽的潤いが芳醇。料理で言えばアクのない澄み切った味の、極めて上質な料理。そんな演奏でした。

 いろいろな準備をしましたが、特にマリンバと言う楽器が、何時、どこからやってきた楽器なのかに思いを馳せながら作曲し、出来た曲が「マダガシカーラ」です。藤澤さんと新野君は、今年6月のデュオリサイタルで、演奏してくれました。その時の様子は記事にしてありますので是非ご覧下さると嬉しいです。

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こんなマリンバ奏者が日本にいる、そしてまだ若く、今後の活躍も期待できることが、実に喜ばしいです。また藤澤さんは、上野信一&フォニックス・レフレクションにも参加しています。素晴らしい打楽器楽団です。一度生演奏に触れましたが、それはそれは凄い楽団です。

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演奏会の帰り、上のCD「リサイタル」を購入しました。藤澤さんの演奏が堪能できます。下のCDは、7月10日に発売になった「ピスカピスカ」です。新野君とのユニット「Nino-Nina」のアルバムで、二人は私の作品、「マダガシカーラ」を演奏してくれています。

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最近の私、朝の作業のBGMは、この「ピスカピスカ」か「リサイタル」です(笑)。

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