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2022年5月8日(日)フォニックス・マリンバ・オーケストラⅨ演奏会 <木の命を感じるような>心に刺さる音楽の演奏会 3


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演奏された曲をひとつひとつ追っていきたい

4 モルダウ

作曲者のスメタナ自身が「この曲は、ヴルタヴァ(モルダウ)川の流れを描写している」と言っている通り、川の流れを描写する音楽です。私は思いました。川の流れ、滔々たる水の流れを描写するのであれば、原曲のオーケストラでの表現より、フォニックスのように、マリンバ合奏の方が合っているのではないかと。

この曲の演奏では、水が流れているかのようなイメージを感じることができました。水のうねり、そういったものを感じさせるような演奏でした。ひょっとしたら、演奏者たちの超絶の技巧がそれを可能にしたのかもしれません。が、オーケストラだって腕利きの演奏者の集まりのはずです。ですが、この夜のフォニックスは、素晴らしい水のうねりを感じさせる演奏でした。スメタナは、私のこの感想に賛成してくれると思います。

5 樹の心

作曲者の池辺晋一郎先生ご自身が、ステージで言っておられました。「このは健全な曲である」と。つまりは、特殊な奏法を用いず、オーソドックスな奏法のみで構成し、奇を衒うことなく作った曲である、という意味のようです。

なるほどご自身の言葉通り、この音楽は最初から最後まで、奇を衒う、という印象はなく、オーソドックスにまとめられた手堅い曲という印象でした。と言っても、和声的に古典的という意味ではなく、ちゃんと現代の和声感と旋律感で作られていました。

冒頭、上野信一先生ご自身のソロで始まり、その音は重く太く、大口径拳銃を客席に向かって撃っているかのような重量感を感じることができました。「樹の心」という曲名、「樹」はどんな事を感じ、どんな事を考えているのか、「樹」の精神世界の色彩感を表現した、直球勝負の音楽、という印象でした。

6 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

とうとうこの曲の番になりました。私の大好きなこの曲です。自分でも何度も何度も演奏した曲です。スコアを隅から隅まで知り尽くしている曲です。

今や世界的マリンバ奏者となった藤澤仁奈さんが、再高音部、ヴァイオリンのメロディー部分を担当する事も、事前に知っていました。そしてその実演を目の前で見、聴く事ができました。

素晴らしい演奏でした。美しい美しい演奏でした。実を言うと、本当はもっともっといろいろ書きたいです。だってこの曲、知り尽くしているんです。書きたい事、たくさんありすぎて、溢れかえっています。でも書きたくないです(笑)。書いてしまうと、それこそディープなヲタクのコアな・・・あ、すでに文章が病的ですね(笑)・・・この曲についてはここまでで勘弁してください。この曲については、私は冷静でいられなくなるんです💦

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7 キトラ

最後の曲でした。上野信一先生が「本日のメインディッシュです」と言っておられました。

聴きました。感想を申し上げます。

素晴らしい音楽を聴けた大きな喜びと、「自分にこんな曲は書けない」という絶大な劣等感。歓喜と絶望が交錯する感覚。今までにも何度か、こういう感覚を味わった、味あわされた事がありました。この感覚ひょっとしたら、サリエリがモーツアルトに抱いていた感覚なのかもしれません。

作曲者、西村朗先生が、どういうレベルの方なのかは知ってます。そりゃあ知ってますよ、私だって一応作曲屋だし、西村先生の作品をいくつも聴いて、そのうちいくつかは生演奏で聴いてるんですから。だから自分では到底適う相手でないことなど、初めから判ってますよ。

でもね、改めてこうやって、作品を目の前に出されて、鑑賞してしまうと、それも演奏したのは、フォニックス・レフレクション。超絶技巧集団です。ああ、9年前のヴァガヴァット・ギーターを思い出しました。あの時の衝撃と同じ種類の衝撃を味わいました。

あ、私また、殆ど冷静さを失っていますので、一生懸命自制して、ちゃんと冷静に感想を書きますね。それもちゃんと正直に公正に感想を書きますね。そうすると、この記事のシリーズの1に書いた、キトラについての短い感想に行きつきます。その感想は、演奏会その日の夜、帰宅後すぐに書いたものです。それをもう一度書くことにしますね。

とにかく「キトラ」は圧巻でした。演奏も素晴らしかったのですが、なんせ曲が「いい曲」でした!!非常に音楽的。美しさと潤いに溢れた素晴らしい音楽でした。


今日はここまでにします。一応プログラム上の曲の感想は書き終えました。なんか冷静さを失ったような、感想とも言えないような感想になってしまったかもですが(笑)。でも、それも私の正直な一面ですから、どうかご容赦ください。

この、フォニックス演奏会の記事シリーズはまだ続きます。曲の感想は終わりましたが、演奏会全体の感想はこれからです。どうかお楽しみに!

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