見出し画像

警告!この記事を読んではいけない90「銃」について56<戦闘機の搭載機銃13>

YOUTUBE始めました。風間真チャンネルはこちら→https://www.youtube.com/channel/UCSi6XBJoaK2pzgJ_hO0qtXw

飛行機の超音速と、機動の関係

前回までの記事で、飛行機が超音速を超える事が、いかに大変であるかを、お話ししました。そしてこの記事シリーズを読んでくださっている方々ならば(一応、読んではいけないと警告しましたが(笑))、飛行機は、速度が上がるにつれて、機動、つまり動きが自由にできなくなることがお判りいただけると思います。

人間、強い風が吹いただけで歩けなくなります。傘なんか飛んでっちゃうか、壊れちゃうかします。たかだか台風の風速、30mとかで、そんなふうになっちゃうんです。飛行機は自分で動きますから、風が吹いてなくても、自分の速度の分だけ、風速を受けます。

ちなみに音速、つまりマッハ1は、摂氏20度の気温で、秒速約340mです。つまり台風の30mの約11倍です。そんな風を常時受けながら飛ぶ、というのがマッハ1での飛行です。これができる飛行機は、信じがたい強風を受けても平気な、頑強な機体構造が必要になります。

しかもこれだけの強風を、常時切り裂きながら前に進みますので、可能な限り空気抵抗を減らすため、所謂「流線形」という機体形状をとります。でも空気抵抗の事ばかり考えてはいられません。人間が操縦する以上、人間が周囲を見渡せるだけの視界を確保しなければなりません。

キャノピーという名の透明な「風防」が必要になり、視界確保のため、このキャノピーはバブル形状をしています。飛行機はそれ以外にも、翼を装備しなければなりません。揚力の確保のための主翼と、機動の確保のための各種補助翼と昇降舵と垂直尾翼です。これが結構な空気抵抗になります。

でもそれを確保しないと飛行機は飛べませんから、必ず確保するんです。それ以外にも、実際には飛行機には各種の突起がありますが、それはどれも、飛行に必要な装備です。

はい、この辺で、読んでいる皆さんは疑問が出てくる頃です。超音速などという飛んでもない速度で飛んでいる物体が、第2次大戦期の戦闘機のような、敵機の後ろに回り込んで機銃で撃墜するような機動ができるんだろうか、と。

はい、ごもっともな疑問です。そしてその疑問は当っています。超音速などというとんでもない速度域で第2次大戦期のような上昇下降左右旋回などの機動をしたら一瞬で飛行機は空中分解します。すぐに木端微塵になります。できっこないんです。

そもそも第2次大戦期の戦闘機は、メッサー262というジェット機が出るまでは、どんなに早い飛行機も、時速700キロが限界でした。ちなみにこの速度、レシプロエンジン飛行機の限界速度と言われています。多くの戦闘機は、実際には500~600キロくらいが限界で、

しかも敵機との空戦、所謂ドッグファイトになると速度は更に下がるのです。第2次大戦期の戦闘機のドッグファイト時の速度は明確な記録はないのですが、大戦後期に登場したP38や、P51など、600キロを超える最高速度の戦闘機が出現すると、もはやドッグファイトをしないように指導され、一撃離脱の戦法となったのです。まあそんな速度域では、ドッグファイトなど、したくてもできなかったでしょうけど。

つまり、敵機の後ろに回り込むような戦闘機動は、ハッキリ言って第2次大戦の中期あたりまでの出来事であり、現在のように、超音速で飛ぶ戦闘機がとるような戦法ではないのです。超音速などでは、そんな機動をしようもんなら、一瞬で機体はバラバラになっちゃうんです。

画像1

超音速飛行の基本は、真っすぐ飛ぶ事

というわけで飛行機は速度が上がれば上がるほど機動はしにくくなります。では一体、ロクに起動できない、ほぼ真っすぐ飛ぶ事しかできない飛行機はどんな戦闘ができるというのでしょうか。これには時代背景を考える必要があります。各国が超音速機の開発に血眼になっていた1960年代~70年代とは、一体どんな時代だったのでしょうか。

1945年、第二次大戦は日本の敗戦で終了しました。1945年、世界の軍事情勢は一変しました。核爆弾の登場です。とんでもない爆弾が出現しました。1発で相手国を敗戦に追い込むような爆弾です。これさえあれば、どんな国にも負けません(笑)。そこで各国は、核兵器の開発に狂奔しました。

そしていくつかの国が核兵器を持つに至りました。特に当時の2大超大国、アメリカとソ連は、大量の核兵器を保有して、それをちらつかせて相手国を脅して、覇権を手に入れようとしました。しかしこの核兵器、どうやって、相手国に落とすのでしょうか。それにはいくつかの方法があります。

1 自国の地上から、大陸間弾道弾で発射して、相手国に落とす。         2 戦略原潜で相手国近くまで行き、海中から発射する。              3 爆撃機で相手国上空まで運び、投下する。

などなどです。これは3つとも実現しました。核攻撃の方法は、当時すでに3つもあったのです。現在では、使わないはともかく、潜水艦の魚雷発射管から発射できる核魚雷すらあります。戦闘機クラスの小型機にも積める戦術核ミサイルもあります。

今はこのシリーズで、超音速機のお話をしていますので、上記のうち、3の「爆撃機で相手国上空まで運ぶ」という戦術のお話をしましょう👆

考えてみてください。超音速機は、ほぼまっすぐにしか飛べません。しかしたとえ真っすぐしか飛べなくても、超音速で相手国に侵入すればどうなるでしょうか。そんなとんでもない速度で侵入されたら、たとえレーダーで捕捉できたとしても、それを撃ち落とす方法があるんでしょうか。

上空にマッハ3で飛ぶ爆撃機が侵入してきたら、もはや撃ち落とす方法は、ありません。ないんです、本当に。侵入されたら終わりなんです。そいつに核爆弾落とされたら、もう国が終わりなんです。

という訳で、特にアメリカとソ連は、超音速爆撃機の開発に狂奔した時代がありました。次回はそのようなお話をしたいと思います。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?