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警告!この記事を読んではいけない44「銃」について11<空母>

前回の記事では、空母に搭載された、対空防御の砲、バルカンファランクスについてお話ししました。バルカンファランクスとは、М61という機関砲です。口径は20ミリで、発射速度は1秒に100発ほどです。大型空母には2基から3基のバルカンファランクスが装備されているのが普通です。

全長300mを超すような巨大な空母の対空装備、つまり空母をやっつけようと向かってくる航空機やミサイルなどを撃ち落とそうという武器が、口径20ミリの鉄砲というのは、あまりに小さすぎやしないか、という感想を持つ方も、きっといると思います。なので、少々解説をしましょう。

空母の対空装備、М61バルカン砲の口径は、確かに20ミリです。つまり2センチです。小さいように思いますが長さが2センチなのではありません。口径、つまり砲弾の直径が2センチと言う事です。この砲弾の長さは、7センチから10センチほど、これにその倍ほどの長さの薬莢が付きます。

砲弾の口径は確かに2センチですが、20ミリ弾のカートリッジは、長さが30センチほどもあり、しかもカートリッジの口径は砲弾の2センチよりかなり膨らんでいて、それだけたくさんの火薬を詰める事ができます。例えれば、砲弾自体が極太のマジックインクほどの大きさで、その下に牛乳瓶ほどの薬莢が付いているんです。

これ見ただけですでに、かなり恐ろしい物体です。こんなのが1秒に100発も飛んでくるんです。さらにМ61は航空機関砲として、戦闘機や攻撃機にも搭載されています。航空機関砲の砲弾は超音速で飛んできます。超音速なので衝撃波も発生します。もしもこの機関砲に狙われたら、たった1発が、当たらなくても自分の近くを通過しただけで、人間の肉なんか裂けてしまいます。

そんな砲弾が1秒に100発も飛んできます。これの弾幕につかまったら、飛行機もミサイルも、一瞬で粉々になります。というか爆発しちゃいます。威力としては充分なんです。問題は当るかあたらないかです。ちゃんと当てるために、発射方向をレーダーで電波管制しているんです。

ミサイルは、電波誘導だと、妨害電波で攪乱され、当たらない恐れがありますが、バルカン砲は、発射後は無誘導なので、何者にも妨害されずに、目標へ直進します。狙いが正確ならば、確実に目標を破壊できます。とはいえ、バルカン砲の射程はそうそう長いものではありません。

要は、近くまで来た目標に対しては有効ですが、目視できないような遠くの目標を狙うには、射程距離が足りなくなるかもなんです。これを補うためと思われますが、空母とかの大型の艦艇には、バルカンファランクスの他に、艦対空ミサイルが装備されています。シースパローとかです。

バルカンファランクスの射程が届かない目標に対しては、まずこのスパローで迎撃するんです。そして、スパローの迎撃網をかいくぐって接近してきたヤツには、このバルカンファランクスをお見舞いするんです。これでほぼ、空母は無傷のままでいられるはずです。

ただしこれは、スパローの防衛網をかいくぐって接近する航空機やミサイルが、一度の3機、あるいは3発までの場合です。それ以上の数が一度に接近してきた場合は、まあ、遠い順に撃ち落としていくわけですが、それでも間に合わないほど一度に大量に大量に接近してきた場合は、空母単独では迎撃できない場合があります。

そこで、通常どのように防御しているかというと、空母には護衛艦隊が周囲を取り囲んでいて、この護衛艦隊の対空防御兵器が活躍して、空母に迫ろうという敵を、撃破するんです。こうすれば、かなりの数のミサイルが同時に飛んできたとしても、かなりの確率で防御できるはず、だったんですが・・

まあこれが、通常の空母艦隊の対空防御のシナリオなんですが、では実戦になった時果たしてこの対空防御システムがシナリオ通りにちゃんと機能するかが問題ですね。シャア・アズナブルも言ってましたね。「よく見ておくのだな。本当の戦争は、ドラマのように格好の良いものではない」って(笑)。

ここで、実戦での実話を一つ、ご紹介しましょう。おそらくは皆さんもよくご存じの、1982年のフォークランド紛争での出来事です。イギリス海軍が、アルゼンチンまで遠征して行って、フォークランド諸島が、イギリスの領土であると、戦争して、勝って、取り戻した、というか・・・

まあ領土紛争です。今から40年近く前の話ですから、現在の対空防御システムと、同じ土俵で比較するには少々無理があるかもしれませんが、それでも、貴重な実戦での対空防御のお話しです。それにその後、空母艦隊に対して、これほど大規模で有名な実戦も行われていませんから、珍しく実戦で、艦隊がミサイルに襲われた例として、お話ししましょうね。

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アルゼンチンですから南米です。その横っちょにある島々、フォークランド諸島は、イギリスの領土でした。アルゼンチンが、自分とこの領土だとでも言いだしたのでしょうか、この辺の政治状況は、私はほとんど知りません。私の興味は、イギリスとアルゼンチンの戦闘の様子にしかないので(笑)。

どうも怒ったらしいイギリスは、主に海軍・・・まあ、殆ど海軍しか派遣できないでしょうね。だって、イギリス本国からあまりに遠い場所ですから、海軍以外を派遣できるはずもありません。ほんの少し空軍機が飛んで行きましたが、これはまあ、あとでお話ししましょう。

ともあれ、イギリスは「許さんぞ!」とか言ったらしく、海軍を大挙して、派遣したんです。そして予定通り(笑)、戦端が開かれました。2隻の空母、ハーミーズとインヴィンシブルを中心とする空母艦隊です。わあ凄いっ!!空母艦隊!そこまでやるかっ!と言うくらいスゴイ艦隊を派遣しました。

そしてその緒戦で、アルゼンチン空軍は、イギリス海軍に対して極めて大きな戦果を挙げたのです!なんとイギリス海軍は、駆逐艦「シェフィールド」と、コンテナ船「アトランティック・コンベア」を撃沈されてしまったのです!この事実は、世界に衝撃を与えました。

世界に冠たるイギリス海軍が、外洋に出向いて行ったら、まず、駆逐艦とコンテナ船をあっさり撃沈されてしまったのです!これには私も驚きました。いやあイギリス、大恥ですね!何故、こんな事が起こったのでしょう。その詳細は、次回に書きますね。残念ですが、今日はここまでです(笑)

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