閃輝暗点が一人旅で起きて泣いた日

閃輝暗点がわたしの身に初めて起きたのは、三年以上前になるだろうか。

閃輝暗点、という言葉自体、その時初めて知ったのだから普段生活していて聞き慣れない言葉であったのはたしかだ。

その閃輝暗点とはなんの前触れもなく突然ギザギザな形の色鮮やかな光が中央に現れ、じょじょに大きくなり視界がギザギザでふさがれて前が見えない状態が30分ほど続き、次第に外に消えていく。
消えて、やっと通常の視界に戻ったかと思えば今度は吐き気と一緒に激しい頭痛が何時間も続くのだ。

一般的に閃輝暗点とは、偏頭痛の前兆の現象で、命にかかわるものではないといわれている。
(例外で、命にかかわる脳の疾患が隠れている場合もあるのでご心配な場合は一度MRIなどの検査を・・)

閃輝暗点はかなり厄介なものである。

思い返すと、わたしは幼少期の頃から偏頭痛持ちだった。

しかし、閃輝暗点は三年前まで出なかったので、ただの偏頭痛にすぎなかった。

それが、閃輝暗点で突然30分視界をギザギザにふさがれ、この後激しい頭痛がやってきますよ、と無言で忠告されるのだ。

そんな告知いらない。

ある時は、友人と飲みに行く直前に現れ、一滴もお酒を飲めないひたすら頭痛とたたかう苦痛な飲み会に。

またある時は、バイト中に出現して視界が一部ふさがれたまま接客するはめに。

三年という短い付き合いだが、回数にすると20回以上は余裕で出現しているのでは、閃輝暗点。

そして、今日。

わたしは、人生で初めて閃輝暗点で泣いた。

一人旅で訪れた旅先で閃輝暗点がでたのである。

それも、いつもと様子がかなり違いおかしかった。

通常は、真ん中に小さな、まだギザギザかもわからないものが現れじょじょに外側に向かって大きいギザギザになってゆく閃輝暗点。

それが今日は、真逆で急に大きなギザギザから始まり、それも中央からではなく外側から始まったのである。
そして、中央に向かって小さくなって消えていった。

何? 何で?

わたしは急に不安になった。閃輝暗点になってから2回ほどMRI検査などは受けたが脳に異常はなかった。

しかし、いつもと違う閃輝暗点で恐怖心が芽生える。

こわい・・・・・。わたし、どうなるのだろう。

もう、ウンザリだった。閃輝暗点には。

11月に友人と一泊二日で静岡に行く約束しているが、どうしてもその前に今日行きたかった。

昨夜そんな気持ちになったのだ。

今年3月に訪れた時と同じように、さくらももこ先生のイラストがあたたかくむかえてくれた。

そして、旅の目的はちびまる子ちゃんランドに行って9月30日までちびまる子ちゃんランド入り口付近に設置されているという記帳台でさくらももこ先生にありがとうございました、とメッセージをただ一言書きに行きたいという思いからだった。
http://www.chibimarukochan-land.com/?p=7929

しかし、突然閃輝暗点に襲われる。



閃輝暗点で視界がぼやけている真っ最中ななか、給食ランチ。
カレーはわたしのいた小学校の給食とちょっと違うけど、優しい美味しさ。
そしてチーズクレープは、昔実際学校の給食で出たのと同じもので、めちゃくちゃ懐かしい味がした。

と、こうやって平然を装って書いたが、実際いつもと様子が違うパターンの閃輝暗点真っ最中で心の中はかなりブルーだった。

給食ランチを食べ終えて、旅の目的だった記帳台へ。

この時、まだ閃輝暗点が続いていて視界がギザギザで覆われていた。

しかし、メッセージは拙い文字だったがなんとか書けた。
名前を書こうか迷ったが、やっぱり書かなかった。

書かなくても、きっと気持ちが届いている気がした。

そのあと、3月ぶりに館内へ。

先程まで閃輝暗点でものすごくダークなものに包まれた気分だったのに、心の中が笑顔になった。

やっぱりまるちゃんはすごいよ・・・。

人を明るい気持ちにしてくれる。

元気をくれるまるちゃん達。

生きているね。ずっとずっと。

ちびまる子ちゃんランドをあとにして、静岡駅に戻ったが、頭痛と吐き気がピークに達し、静岡おでんやさわやかハンバーグを食べて帰りたいと思っていた気持をおさえ足早で新幹線で東京に帰ってしまった。

新幹線で約一時間。

家に帰って、なぜか泣きたい気持ちになった。

せっかくの旅も、偏頭痛でだいなし。

なぜ・・・・・。

そして襲ってくる不安や孤独。

同棲している彼はそばにいるが、なぜかひとりぼっちな気がした。

閃輝暗点がわたしを不安のどん底に突き落とすのだ。

気がつくと、些細なことで彼と言い合いになりわたしは小さな子供だった頃のようにすねて泣きじゃくっていた。

泣いて泣いて泣きまくって疲れ果てると、泣くことにあきたのか涙が勝手に止まった。

その頃には、彼と仲直りしていて一緒にスーパーへ行った。気がつくとわたし達は笑っていた。
先ほどちょっとした口論で口調の荒かった彼が穏やかな笑みを浮かべて
「まあちゃん、やっと元気出てきたね、よかった」
と言ってくれた。
そのさりげない言葉が嬉しかった。喧嘩はするが、彼がそばにいると幸せな気持ちになる。

色々思い返すと今日は閃輝暗点が旅先ででて大変だったりしたが、やっぱり今日静岡に行ってよかった。

また会いに行くね、まるちゃん。

#備忘録日記 #エッセイ #静岡



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