エピローグ
前回 第39話「決着」
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亜衣はトレードコンテストを終えてサンフランシスコのオフィスに戻っていた。
2位と言えど、日本円で数百億円の賞金を手にした亜衣だったが、そのほとんどを新しく立ち上げる〝ワールドベーシックインカム”の事業へ投資する手筈にしていた。
◇
「お嬢ちゃん、本当に良いのかい?一生遊んで暮らせる額だぜ? 新事業が失敗したらパーだぞ?」
と、ヘッジファンドを通して新事業への投資資金に充てることをお願いしてあるテリー氏が言った。
「テリーさんこそ、資産の多くを今度の事業に賭けるんでしょう? でも、成功すれば本当にスラム街をなくせるかもしれませんね。」
と亜衣が答えた。
「ああ、もう一回あいつらに夢を見させてもらおうかなと思ってよ。」
とテリー氏がニヤッと笑った。
◇
渡辺社長とアイロン・マックスに亜衣、そしてマイさんもCOOとして事業に加わることになっていた。 ※COO=最高執行責任者
この日はサンフランシスコのMurmurChat本社にてチームの皆と一緒にマイさんを迎えることになっていた。
紛争地で倒れたマイさんは、数日の後に回復してアメリカへ帰国していた。
まだまだ荒削りなAIトレーダーアプリの「Xyz」にインプットしたロジックをもっとシンプル化・最適化して、異なるLLMやデバイス上でも作動するように互換性を持たせるための打ち合わせをする予定だった。
さらには、ロジックの修正や追加もノーコードで自由にできる仕様とし、世界の誰もが〝お金に支配される時代”を克服する一員として参加できるようにする計画であった。
亜衣がチームの皆と談笑していると、フロアのスタッフ達の目線が入口へと向いた。
「あの人がマイさん!?」
「映像で見るより小柄だ。。。」
フロアに入って来て通路を歩いていくマイを皆が畏敬の念のこもった、それでいてヒロインを見るような憧れの目で見ている。
気付かずにメンバーと談笑していた亜衣の背後にマイが来ると、部下のキャシーが笑顔のまま顎で後ろを指すような仕草をして、亜衣に教えた。
マイのほうをゆっくりと振り向く亜衣。
お互いに大切な存在だが、対面するのは初めてだ。
ニコニコしながらマイが見ている。
「亜衣、オープンマインドで、、、よく頑張ったンゴね〜!」
とマイはおどけるようにMikyさんの真似をしながらウィンクをし、亜衣にハグをした。
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