『ナボニドゥスの祈り』死海写本 4Q242

ナボニドゥスは紀元前6世紀の新バビロニア王国の最後の王である。彼はアラビア征服の後アラビアの都市テイマ[Tayma]に留まり、バビロン市の統治を息子ベルシャザルに渡したが、その理由は詳しくはわかっていない。

死海写本からはナボニドゥスが登場するアラム語 [バビロニア王国の公用語]の文書が見つかっており、『ナボニドゥスの祈り』と名付けられている。そこではナボニドゥスがテイマで七年間病にかかり、ユダヤ人の神に立ち返って癒される物語が語られている。これをネブカドネザルの七年の狂気(ダニエル書4章)と結びつけ、ダニエル書の原形の物語がこちらであったと提案する学者もいる。

英訳者の補足を[[]]で示す。邦訳者(私)の補足を[]で示す。

:::::以下翻訳:::::

祈りの諸々の言葉。ナボニドゥスによって言われたもの。[彼は][[偉大な]]王であり、これは[[苦悩させられた時のことである]]。

その[苦悩と]は、いと高き神の命令による病弊である。テイマンにおいてのことであった。

[[私、ナボニドゥスは]]苦悩させられた。[[悪しき病弊によって。]]

七年間、[[人々]]から遠ざかって、私は[[追放された。いと高き神に祈るまで。]]そして

ある悪魔祓いが私の諸々の罪を赦免した。彼はユダヤ人であり、[[ユダの捕囚の子らの中]]からの者であった。[[そして言った。]]

「これを書いて詳述せよ。[[いと高き神の]]名に名誉を帰し、それを称揚するためである。」[[それで私はこう書いた。]] 「あの時、

すなわち私がテイマでの滞在の間、[[いと高き神によって]]悪しき病弊を以て七年間苦悩させられた[時]、

私は銀で、そして金で、[[そして銅で、そして鉄で、]]木で、石で、石灰で[できた]神々に祈った。

なぜならそれらを神々だと[私は思い、考えていた]からである。[[以下欠落]]

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