『教会史』第2巻 第2章 ティベリウスが、ピラトからキリストに関して知らされた際に心動かされた次第について(エウセビオス)

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第2章 ティベリウスが、ピラトからキリストに関して知らされた際に心動かされた次第について


1節
そして我らの救助者の驚嘆すべき復活と昇天が既に外国へ広まった頃、ポンティオ・ピラトは、我らの救助者イエスの死者のうちからの復活に関する、全パレスチナに渡って広まった諸々の報告をティベリウスへ知らせた。これは、諸々の属州の統治者たちの間で普及していた古代の慣習に従っており、彼らは自分たちのうちで起こった目新しい諸々の事件に関して、遺漏の起こらないようにするために、皇帝に報告[していた]のである。

2節
[ピラト]は[イエス]について学んだ他の諸々の奇跡について、そして[イエスが]死後に死者のうちから復活して、今や多くの者たちによって神であると信じられているという次第についても報告をなした。ティベリウスはこの議題を元老院に諮ったが、[元老院]はそれを拒絶した。これは表面上は彼らが始めその議題を調査しなかった(というのも古代の法では、ローマ人によって神とされることは元老院の票決と布告以外にはありえないことが通例であった)ためであるが、実際には神的な福音の救いの教えが人々による承認や推薦を必要としないためである。

3節
しかしローマ人の元老院が我らの救助者についての提議を拒絶したのにも関わらず、ティベリウスは最初に自分の持った意見を依然として保ち続け、キリストに対する敵対的な措置を何も講じなかった。

4節
これらの諸々のことはテルトゥリアヌスによって記録されている。彼はローマ人の諸々の法に良く精通しており、また他の観点でも高い評判を得て、特にローマにおいて著名であった。彼がラテン語で書いたキリスト者のための護教論において、彼は以下のように記している。

5節
…しかし我々はこれらの諸々の法についてそれらの起源から説明を付すことができる。つまり、元老院が承認を表明するまでは、皇帝によって誰も神として聖別されることがない、というのが古代の法令だったのである。マルクス・アウレリウス[も]アルブルヌス(Alburnus)という偶像についてそのように為している。この点、つまりあなたがたのうちでは神的な尊厳が人の法令によって授与される[という点については]、[そうではない]我々の教義[の方]が優位な部分である。もしある神が人を喜ばせないならば、彼は神とされることがない。それゆえ、この慣習に従っては、人が神に対して慈悲深くあることが必要なのである。

6節
それゆえ、キリストはティベリウスの[治世]下で世界へと立ち入ったのだが、ティベリウスはこの[キリスト教]の教義を気に入っているということを[元老院の人々]に対して明確にした。その[教え]が最初に始められたパレスチナから自分へと報告された際、元老院にその意思を伝えたのである。しかし元老院は、自分たちでその議題を検証しなかったので、[キリスト教]を拒絶した。しかしティベリウスは彼自身の意見を持ち続け、キリスト者を非難する者たちを死で脅かした。これが賢明にも彼の心に植えつけられたのは天的な摂理によるものであり、[この摂理は]福音の教義がその始めにあって妨げられることなく世界中の全方位へと拡散するようにするためのものであった。

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