『教会史』第1巻 第6章 キリストの時代について。預言と合致して、ユダヤ人の国を古代からの正式な継承において統治してきた支配者たちは終わりに至り、最初の異人ヘロデが王となった。(エウセビオス)

http://www.newadvent.org/fathers/250101.htm

6章 キリストの時代について。預言と合致して、ユダヤ人の国を古代からの正式な継承において統治してきた支配者たちは終わりに至り、最初の異人ヘロデが王となった。

1節
異邦の血統の最初の君主であるヘロデス[ヘロデ]が王となった際、モーセの預言がその成就を受けた。それによれば「ユダの君主は欠けず、また彼の後胤から支配者たちは欠けない。それを彼のために取り置いたところの者が来るまで。」[創世記 49:10七十人訳]とある。彼はまた後者[王権を取り置かれた者]が国々の期待される者となることをも示している。

2節
この予言は彼ら自身の国からの支配者たちのもとで生きることが許されていた間、すなわちモーセの時代からアウグストゥスの治世までは、成就されないままであった。後者[アウグストゥス]のもとで、最初の異人ヘロデはユダヤ人の王国をローマ人から与えられた。ヨセフスが叙述するように、彼はその父方についてはイドマヤ人であり、その母方についてはアラビア人であった。しかしまた非凡な著作家であったアフリカノス[アフリカヌス]は以下のように言っている。すなわち、彼についてより正確に知らせた者たちは、彼がアンティパトロス[アンティパテル]の息子であり、後者はアシュケロンのヘロデスなる、アポロン神殿のいわゆる召使いたちの一人であった者の息子であったと報告しているとのことである。

3節
このアンティパテルは、少年の間イドマヤの強盗たちによって捕虜として取られ、彼らと生活した。なぜなら彼の父は貧しい人で、彼のための身代金を払うことができなかったからである。彼らの慣行のうちで育ち、彼は後にユダヤ人の大祭司であるヒルカノスと交誼を結んだ。彼の息子が我らの救助者の諸時代において生きたヘロデであった。

4節
そのような人に対してユダヤ人の王国が譲渡された際、預言に従って、国々の期待する者[キリスト]は既に戸口にいた。というのもモーセの時代から正式な継承において統べてきた彼らの君主たちと総督たちは、彼を以って終わりに至ったのである。

5節
彼らのバビロンへの捕囚と移送の前には、彼らは第一にサウルによって、次にダビデによって統べられ、また王たちの前には、裁き司と呼ばれる、モーセとその後継者ヨシュアの後に来た指導者たちが彼らを支配した。

6節
バビロンからの彼らの帰還の後、彼らは寡頭制による貴族的な支配形体を中断されることなく持ち続けた。というのも、ローマ人の長官ポンペイウスが軍によってエルサレムを奪取し、まさに至聖所に入ることによって諸々の聖なる場所を汚すまで、祭司たちが諸々の事務の指揮権を持っていたのである。アリストブロスは、古代からの継承の権利によってその時代まで王と大祭司を兼ねていたが、[ポンペイウス]は[彼を][アリストブロスの]子たちと共にローマへ捕縛すべく送り、そしてアリストブロスの兄弟ヒルカノスに大祭司位を与えた。一方ユダヤ人の国全体はその時代からローマ人への従属国と成された。

7節
しかし大祭司たちの正式な系統の最後であったヒルカノスは、その後すぐにパルティア人によって捕虜として取られ、既に言ったように、最初の異人ヘロデがローマの元老院とアウグストゥスによってユダヤ人の国の王と成された。

8節
彼のもとでキリストは身体的な形において出現し、期待されていた国々の救済と彼らの召命が預言に合致して続いた。この時代からユダの、つまりユダヤ人の国の、君主たちと支配者たちは終わりに至り、自然な結果として旧き諸時代からの、世代から世代への極めて厳密な継承で規則正しく続いてきた大祭司位の体制が直ちに混乱へと投げ入れられた。

9節
これらの諸々のことについてもヨセフスは証言者となって以下のように示している。ヘロデがローマ人によって王と成された際、彼はもはや古代の系統から大祭司を任命せず、とある無名の人々に名誉を与えたのである。祭司たちがの任命におけるヘロデのそれと似た方針は彼の息子アルケラオス[アルケラオ]によって続行され、彼の後には支配権を自分たちの手中に収めたローマ人たちによって[続行された]。

10節
同じ著者は以下のことをも示している。ヘロデが最初に、大祭司の神聖なる外套を自分の公印のもとに拘束し、大祭司たちに自分たちのためにそれを守ることの許可を拒絶したのである。同じ方針が彼の後にアルケラオによって、そしてアルケラオの後にローマ人によって倣われた。

11節
これらのことは、我々の救助者イエス・キリストにおいて成就されたもう一つの預言を示すために我らによって記録された。というのも聖書は、ダニエル書[9:26]において、ある、キリストの到来までの諸々の週の数を明示的に言及しながら、最も明白に、これらの週の完了の後、ユダヤ人の間の塗油が全的に崩壊することを預言しているのである。(週の数については我々は他の諸書において取り扱った。) そしてこれは、明白に示されてきたことであるが、我らの救助者イエス・キリストの時に成就されたのである。これはその時の正確さの証拠として必然的に我々によって前提とされてきたものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?