『教会史』第3巻 第7章 キリストの諸予言

http://www.newadvent.org/fathers/250103.htm


第7章 キリストの諸予言


1節

これらの諸報告に、我らの救助者の真実なる予言を加えることは適切なことであろう。そこにおいて彼はまさにこれらの出来事を予告したのである。

2節

彼の諸々の言葉は以下のようである。…子どもと共にいる者たち、そしてそれらの日々に[乳]を吸わせている者たちに災いがある。しかしあなたの逃避が冬にならないよう、また安息日にならないよう祈れ。というのも大いなる艱難があることになるから。それは世界の始まりからこの時までなく、いや、いつまでも起こることのないようなものである。[マタイ24:19-21、マルコ13:17-19]

3節

かの歴史家は、殺害された者たちの数全体を数え上げて、飢饉と剣によって百十万人が滅んだと言っている。そして暴徒たちと強奪者たちの残りは、その都市の奪取の後で互いによって裏切られ、殺害された[と歴史家は言う]。しかし若者たちのうちの最も背の高い者たちと、美しさで際立った者たちは、凱旋のために取り置かれた。残りの群衆は、十七歳を越えた者たちはエジプトでの仕事に従事するべく捕囚として送られ、一方でさらに多くの者たちが地方に散らされ、現地において剣や獣によって死に至った。十七歳より下の者たちは、奴隷として売られるべく運び去られ、その者たちだけでその数、九万に達した。

4節

これらのことはこのようにウェスパシアヌスの統治第二年に起こり、我らの主で救助者なるイエス・キリストの諸預言と合致していた。彼は神的な力によって前もってそれらを、あたかもそれらが現在にあるように見て、聖なる福音記者たちの言明の通り、嘆き、悼んだのである。[マタイ23:36-37、ルカ19:41]彼が発言したまさにその諸々の言葉は、あたかも彼女自身へ、すなわちエルサレムへ向けているかのように言った際のもので、彼はこう言った。…

5節

もしあなたが、あなたさえが、この日に、自分の平和に対して属している諸々のことを知っていたならば(良かったのに)! しかし今やそれらはあなたの両目からは隠されている。というのもその日々があなたに臨むことになるのである。すなわちあなたの諸々の敵があなたの周りに城塁を配し、あなたを取り囲み、あなたをあらゆる方面から閉じ込め、あなたと、さらにはあなたの子らで、地を覆わせるのである。[ルカ19:42-44]

6節

それから、その民に関して語るかのように、彼はこのように言う。…というのもこの地において大いなる艱難が、この民に対して怒りがあることになる。そして全ての国々へと捕囚として連れ去られることになる。そしてエルサレムは異邦人たちの下に踏み躙られることになる。それは異邦人たちの諸時代が満ちるまで[ルカ21:23-24]である。そしてまた[言った]。…エルサレムが諸々の軍に取り囲まれるのを見ることになれば、その際その荒廃が近いことを知れ。[ルカ21:20]

7節

誰でも我らの救助者の諸々の言葉をかの歴史家の戦争全体に関する他の諸々の報告と比較するならば、我らの救助者の予知と預言が真に神的であり驚異的に非凡であることを不思議がり、認めるようにならないはずがあろうか。

8節

それで、これらの惨劇に関しては、かの歴史家の報告に何ら加える必要がない。これらの[惨劇]は、救助者の受難の後で、そしてユダヤ人の群衆が[そこで]発した諸々の言葉[マタイ27:20-25、マルコ15:11-14、ルカ23:18-23]、つまり彼らがかの強奪者で殺人者である者[マタイ27:16、マルコ15:7、ルカ23:19]の解放を懇願し、自分たちの真中から命の君なる方が取り去られることを求めた[使徒3:13-15]その時の[言葉]の後で、ユダヤ人の国全体に降りかかったものである。

9節

しかし、キリストに対する反抗の後に満四十年間も彼らの崩壊を引き止めた全的に善なる摂理による恩恵を示すこれらの出来事も言及することが適切であろう。その時代の間、多くの使徒たちと弟子たち、そして第一の司教ヤコブ自身が、すなわち主の兄弟と呼ばれた者が、そこにまだ生きており、まさにエルサレムに住んでおり、その場所の極めて確かな防波堤であり続けたのである。それゆえ神的な摂理は彼らに対して長く忍耐したことを証明した。それは彼らの為したことについての悔い改めによって彼らが赦しと救済を得るかどうか[cf. 使徒3:17-20]を見るためであった。そしてそのような長い忍耐に加えて、摂理はもし彼らが悔い改めなかった際に彼らに起こることになっていた諸々のことについての驚くべき諸々のしるしをも供給した。

10節

これらの事柄は既に引用したいかの歴史家によって言及するに値すると考えられたので、この著作の読者たちの利益のためにはそれらを詳述することが最も良い。

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