『教会史』第1巻 第10章 ユダヤの大祭司たちのうちの誰のもとでキリストが教えたかについて(エウセビオス)

http://www.newadvent.org/fathers/250101.htm

10章 ユダヤの大祭司たちのうちの誰のもとでキリストが教えたかについて

1節
かの福音記者によれば、我らの救助者で主である、神のキリストなるイエスが、およそ年齢三十歳で、バプテスマのためにヨハネのところに来て福音の発布を始めたのは、ティベリウスの統治第十五年、ポンティウス・ピラトゥスの政権第四年においてであり、ヘロデとリュサニアとフィリポがユダヤの残りを支配していた頃であった。

2節
神的な聖書はさらに彼の奉仕の時全体が大祭司アンナスとカヤパのもとで過ごされたと言っており、それら二人の大祭司位に属する時代において彼の教えの期間全体が完了したことを示している。彼は彼の業をアンナスの大祭司位の間に始めて、カヤパが職務を保持するまで教えたので、その期間全体は高々四年にも成らない。

3節
というのもその時代から既に律法の諸々のしきたりが廃止されてきたので、神の崇拝に関連する諸々の通例的な慣習も破棄されていたのである。[本来]それに従って、大祭司はその職務を世襲によって獲得し、その[位]を生涯維持するはずであった。しかしローマの支配者によって、ある者が、すぐにまた他のある人が、職務続行が一年も超えずに、大祭司位に任命されるようになっていた。

4節
ヨセフスはアンナスからカヤパへの継承において四人の大祭司たちがいたことを叙述している。それゆえ『古代誌』の同じ書において彼は以下のように記している。「ウァレリウス・グラトゥスがアナヌスの大祭司位を終わりに定め、ファビの息子イシュマエルを大祭司に任命した。そして少し後に彼を取り除き、大祭司アナヌスの息子エレアザルを同職務に任命した。そして一年の終わりに彼をもまた取り除き、カミトゥス[Camithus]の息子シモンに大祭司位を与えた。しかし彼も同様に一年を越えないだけ名誉を保持して、カヤパとも呼ばれるヨセフが彼を継承した。」 従って我らの救助者の奉仕の期間全体は高々満四年にならないことが示される。つまりアンナスからカヤパに到達するまでの、それぞれ一年の職務を保持した四人の大祭司たち[の期間]である。

それゆえ福音書はカヤパを救助者が受苦した[時代の]大祭司として正しく示唆した。そこからも我々は我らの救助者の奉仕の時が前述の調査と異同のないことを見ることができるのである。

5節
我らの救助者、主は、その奉仕の始めからそれほど経たないうちに、十二人の使徒たちを呼び、全ての彼の弟子たちのうちこれらのみに、特別な名誉として使徒と名付けた。そしてまた彼は他の七十人の者たちを任命し、彼らを二人ずつ彼の面前で[任命し]、彼自身が向かう予定のあらゆる場所と都市へと遣わした。

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