『教会史』第2巻 第18章 我々に継承されたフィロンの諸々の著作について

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第18章 我々に継承されたフィロンの諸々の著作について

1節

言語において豊かであり、思考において網羅的であり、神の聖書についてのその視点において気高く高尚であったフィロンは、神聖なる諸書の多種多様な解説を生み出した。一方では、『神聖な諸律法についての諸々の寓意[Allegories on the Sacred Laws]』という題で創世記に記録された諸々の出来事を順に詳説しており、一方では彼が非常に適切にも『創世記と出エジプト記についての諸々の疑問と諸々の解答[Questions and Answers on Genesis and Exodus]』と呼ぶ諸々の書において、調査の主題となる聖書群の諸々の章についての連続的な分割をして、諸々の難点と諸々の解決を与えている。

2節

これらの他に、とある諸々の主題について明白に彼によって著された以下のような諸々の論考がある。二書の『農耕について[On the Agriculture]』、同数の『酩酊について[On the Drunkenness]』。そして他のいくつかの、それぞれの内容に対応する別の題によって区別されたものがある。例えば『正気な思考の諸々の欲望と諸々の呪いに関する諸々の事について[Concerning the Things Which the Sober Mind Desires and Execrates]』『諸々の母語の混乱について[On the Confusion of Tongues]』『飛翔と発見について[On Flight and Discovery]』『教育のための会合について[On Assembly for the Sake of Instruction]』『「誰が神的な諸事物の相続者であるか」という疑問について[On the Question, 'Who is Heir to Things Divine?']』また『諸事物の等分割と不等[分割]について[On the Division of Things into Equal and Unequal]』そしてさらに『他の諸々のことと共にモーセによって描かれた三つの徳について[On the Three Virtues Which With Others Have Been Described by Moses]』という著作などである。

3節

これらに加えて、『その名の変えられた者たちとなぜそれらが変えられたかについて[On Those Whose Names Have Been Changed and Why They Have Been Changed]』という著作があり、そのうちで彼は自分が更に二書の『諸々の契約について[On Covenants]』を書いたと言っている。

4節

また、以下のような彼の著作もある。『移住について[On Emigration]』、一書の『義において完全となされたある賢者について[On the Life of a Wise Man Made Perfect in Righteousness]』また『書かれざる諸律法について[On Unwritten Laws]』そしてさらに以下のような著作がある。『巨人たちについて[On Giants]』また『神の不変性について[On the Immutability of God]』そして第一、第二、第三、第四、第五の『モーセによる諸々の夢は神によって送られたという論題について[On the Proposition, That Dreams According to Moses are Sent by God]』の書である。これらが我々の元に継承された創世記についての諸書である。

5節

一方で出エジプト記については、我々は以下のものを見知っている。第一、第二、第三、第四、第五の『諸々の疑問と諸々の解答[Questions and Answers]』の書、また『仮庵について[On the Tabernacle]』『十戒について[On the Ten Commandments]』、四書の『十戒の主要な諸分割に特に言及する諸々の律法について[On the Laws Which Refer Especially to the Principal Divisions of the Ten Commandments]』そしてもう一書『犠牲を意図された動物たちについて[On Animals Intended for Sacrifice]そして『犠牲の種類について[On the Kinds of Sacrifice]』そしてもう一書『善き者に対して律法で定められた諸々の報酬と、悪しき者に対して定められた諸々の刑罰について[On the Rewards Fixed in the Law for the Good, and on the Punishments and Curses Fixed for the Wicked]』である。

これら全てに加えて、いくつかの一巻から成る彼の諸々の著作で残存しているものがある。例えば以下のような著作である。『経綸について[On Providence]』そして彼によって著された書『ユダヤ人について』『政治家』さらに『アレキサンダー』[On the Jews, and The Statesman; and still further, Alexander]、また『理性を欠いた動物たちによる理性の所有について[On the Possession of Reason by the Irrational Animals]』これらの他に、以下の著作がある。『あらゆる悪しき人は奴隷である、という論題について[On the Proposition that Every Wicked Man is a Slave]』、またそれに従属した著作『あらゆる善き人は自由である、という論題について[On the Proposition that Every Good Man is Free]』である。

7節

これらの後に、以下の著作が彼によって著された。「観想的生活あるいは求道者たちについて[On the Contemplative Life, or On Suppliants]」これから我々は使徒的人々の生活に関しての事実を引き出した。『律法と諸預言者における諸々のヘブル名の解釈[the Interpretation of the Hebrew Names in the Law and in the Prophets]』は彼の生み出した成果であると言われている。

8節

また彼はローマの元老院の前でクラウディウスの治世間において彼の書いた著作を読んだと言われている。[それは]ガイウスの[治世]下に彼がローマに来て、ガイウスの神々への憎悪に関して[書き]、それに、彼の人格への皮肉的な言及によって『諸々の徳について』と題を付したものである。彼の諸々の講義は非常に賞賛され、諸々の図書館において場所を[占める]価値があると見なされるほどであった。

9節

このとき、パウロはエルサレムからの旅を完遂しようとしており、イリリクムのあたりにいた[ローマ 15:19]。クラウディウスはユダヤ人たちをローマから追放した。アキラとプリスキラはローマを他のユダヤ人たちと共に発ってアジアに来て、使徒パウロと共にそこで住んだ。[パウロは]新しくその基礎を彼が据えたその地方の諸教会を確立しようとしていた。神聖な書である使徒行伝が我々にこれらのことも知らせている。


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