黙示録解釈…「鉄の杖で治める者」

◼︎12章、17章…鉄の杖で治める者

 "また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられた。女は荒野へ逃げて行った。そこには、彼女が千二百六十日のあいだ養われるように、神の用意された場所があった。" ヨハネの黙示録 12:1-7
"またわたしが見ていると、天が開かれ、見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っているかたは、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦うかたである。その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。彼は血染めの衣をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。その口からは、諸国民を打つために、鋭いつるぎが出ていた。彼は、鉄のつえをもって諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。その着物にも、そのももにも、「王の王、主の主」という名がしるされていた。" ヨハネの黙示録 19:11-16

この「鉄のつえで諸国民を治める者」とは、おそらくイエス・キリストのことであろうと思われる。 

 根拠としては

①神のみもとに引き上げられている。

 "天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。" ヨハネによる福音書 3:13 

②黙示録一章に登場するイエスと思われる人物と描写が似ている。(燃える炎の目・両刃の剣の出た口)

"そこでわたしは、わたしに呼びかけたその声を見ようとしてふりむいた。ふりむくと、七つの金の燭台が目についた。それらの燭台の間に、足までたれた上着を着、胸に金の帯をしめている人の子のような者がいた。そのかしらと髪の毛とは、雪のように白い羊毛に似て真白であり、目は燃える炎のようであった。その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、声は大水のとどろきのようであった。その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃のつるぎがつき出ており、顔は、強く照り輝く太陽のようであった。わたしは彼を見たとき、その足もとに倒れて死人のようになった。すると、彼は右手をわたしの上において言った、「恐れるな。わたしは初めであり、終りであり、また、生きている者である。わたしは死んだことはあるが、見よ、世々限りなく生きている者である。そして、死と黄泉とのかぎを持っている。" ヨハネの黙示録 1:12-18

この1章に登場する人物は、「人の子のようなもの」や「一度死んだが蘇った者」などの表現から、おそらくイエス・キリストのことであろう。 

③「神の言葉」と呼ばれている。 

"そして言葉は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。" ヨハネによる福音書 1:14 

ただし、黙示録の冒頭である七つの教会への宣明では、「鉄のつえを持って治める」という役割が「イエスのわざを保った者」にも与えられている。ただ、これはイエスがそもそもその役割を得ていることから、それがさらに継がれるという意味にとれる。 

"勝利を得る者、わたしのわざを最後まで持ち続ける者には、諸国民を支配する権威を授ける。彼は鉄のつえをもって、ちょうど土の器を砕くように、彼らを治めるであろう。それは、わたし自身が父から権威を受けて治めるのと同様である。" ヨハネの黙示録 2:26-27

第四のティアティラの教会への宣明においてこれが語られている。似たような事例として、第七のラオデキアの教会への宣明に以下のような言明がある。

"勝利を得る者には、わたしと共にわたしの座につかせよう。それはちょうど、わたしが勝利を得てわたしの父と共にその御座についたのと同様である。" ヨハネの黙示録 3:21 

これらを総合して考えて、黙示録12章と19章の「鉄のつえを持って治める者」はイエス・キリストのことである、と予想する。 


この解釈から、「鉄のつえを以て治める者」(=キリスト)が「神の御座に上げられる(黙示録12:6)」できごととは、キリストの復活後の昇天にあたる出来事と思われる。(AD30頃)

また、「鉄のつえを以て治める者」が「女によって生まれる」(黙示録12:2)できごととは、キリストの誕生(BC5頃)か公生涯の開始(AD30頃)のことを指していると思われる。

また、「龍が女の子を食おうとする」(黙示録12:3)できごととは、キリストの誕生のころに起こったヘロデ大王による嬰児虐殺(BC5頃)かキリストの磔刑(AD30頃)のことを指していると思われる。


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