見出し画像

最近泣きそうになったこと

今月初旬のことだった。

息子の幼稚園の三者面談があった。

通常なら担任の先生と二人で幼稚園にて行われる予定だったが、コロナの影響で、担任の先生と園長先生と私の三者面談をオンラインで行うことになった。

まず、コロナで幼稚園が3月から休校になった際に、オンライン授業を4月頭から開始してくれた。だから何の抵抗もなく、オンラインでの三者面談も問題なくスムーズだった。

しっかりと園長先生と会話するのは今回が初めてで、面談もなにを話すのかと少しドキドキしていたのだが、園長先生からこんな質問をされた。

なぜうちの幼稚園を選ばれたのか、聞かせてください、と。


息子が通う幼稚園は田舎の山奥にあり、我が家からも車で25分はかかる場所にある。

幼稚園バスはあるもののくるくるとみんなを拾いながら進むため1時間近くバスに乗って通うこともある。

立地は便利とは言えないかもしれない。


みんなが自分の愛する子供を幼稚園に通わせる時、家から近いとか園庭が広いとか色々自分の中での選択肢があると思うけれど、私の中では何かを選択して、少なくとも教育費を支払うのは投票みたいな感じだと思っている。

自分がこれからもずっとあり続けてあって欲しい場所や物に対価を支払うことで投票するような気持ちになっている。

たかが幼稚園で、と最初は思ったが、小学校以上に選択肢が広いことも子育てして学んだ部分だった。

幼稚園というのは義務教育ではないので、(さらに私の住んでいる場所は公立幼稚園が市内二カ所しかなく市内で年80名しか通えないので私立幼稚園がほとんど)自分で選んで通うことができる。

そうなると幼稚園も様々な特色を生かしてアピールしてくるのだ。

スポーツが得意だとか英語教育がとか屋内プールと図書館がとか。

または働くママたちに向けて預かり保育が安いとか時間が長いとかもある。


じゃあ一体何を自分が最優先として選べばいいのか?

10カ所近く幼稚園や保育園や認定こども園も回って考えた。


そもそも自分だったらどんな幼稚園に通いたいだろうか、と。

どんな教育を受けてみたかっただろうかと。


子育てをしながら何度も思うが、子育ては自分と向かい合ういい機会だ。

それ以上に向かい合わざるおえないのだ。だから時に苦しくなったり、逃げ出したくもなる。


私が幼稚園を選んだ理由はこれだった。

自分が学生時代、小、中、高と感じてきたモヤモヤを一瞬で取り払ってくれるような説明をしてくれた幼稚園だったから。

そのモヤモヤって一体何?と幼少期の私は感じていた。

今なら何となく言葉にできるけどこんなこと。


もっと自分を表現したい。

学習成績だけで優れているとか目にわかる数値だけで評価される毎日って何だろう。

人同士の向き合い方や付き合い方、視野の広げ方などは独学なんだな。


そんなことがすごく毎日モヤモヤしていたけど、志望校を決めなさい、とかテストに追われてモヤモヤにじっくり向き合わずにいた。


今でこそこうやって個人が考えや表現を発信できる場所があるけれど、当時はまだ携帯もなく家の電話が通信方法。情報は雑誌、TV、図書館。。。。

なかなか表現できずに過ごしてしまった。

高校生の時にはずいぶん明確になってきたので、一番自分らしくいられる場所に行きたい、そこに行くことで自分と居心地のよい人たちと知り合うことができ、視野も広がる、と考えることができたけど、そこにたどり着くまでは何年もかかった気がする。


息子が幼稚園という年齢で感じることは難しいかもしれないけれど、毎日通う場所が第二の家庭のように感覚的に感じれる場所であって欲しいし、そして私自身も教育について学び直そう、と思った。


私が園長先生にそのモヤモヤについてお話しして、先生が私自身もずっとモヤモヤがあったんです、と伝えてくださった時、私は泣きそうになった。

ああやっとここでその時の気持ちを溶かすことができたなあ、と。

もうあと少ししか息子は通わないかもしれないけれどこの幼稚園を選んでよかったなあと、改めて感じた。

例えば幼稚園のどんなことでそれを感じますか?と聞かれて、私はこんな事ですと伝えた。


幼稚園の発表会。

テーマは桃太郎だった。よくあるストーリー。

しかし3クラスがそれぞれ同じ桃太郎を演じるのではなく

表現方法を変えて、本人が選んだ内容で表現する。

一つは影絵の桃太郎。

一つはミュージカルの桃太郎。

一つは劇の桃太郎。


そこにはまず自分で選択し、表現を考え、また様々な見せ方で一つの事柄を伝えることができる、という意図が隠れている。

そして練習に取り組む前に、今日の練習では何を頑張るのかみんなで決め、終わりには自分たちの練習風景の動画を見て、良かったところ、もっと頑張りたいところを話し合い振り返りをしていたとのこと。

自分たちで決めているから意欲的に取り組める。

息子は影絵を選んだが、なぜ影絵だったのかとか、他の人の表現はどうだった?とかそんな質問を息子に聞いた。

もし私が通っていた学校だったら1年生は桃太郎 、二年生はダンス、三年生は、、、という感じで全部バラバラの内容で発表会をやっていた。

そして声が大きく出ていたね、とか上手にできたね、とかそんな感想が親からの言葉だったような気がする。

そんな少しの出来事でも感じ方や表現、そしてみんなの意見を交換しながら自分の考えについて伝えることの大切さを学ぶことができる。


これだから正解なんてない、何が正しいって言い切れないけれど、自分らしくいられる場所、そして周りの人たちも自分らしくいられ、楽しい毎日であるように、これからもずっと探していきたい。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?