新宿


やっぱり仕事上がりはビールだよ
そうはにかむ君の骨張った肩が
触れるか触れないかで
私の横を通り抜け
追いかけるように
アルコールの香りが軌跡を残した
いくつも連なるビルのネオン看板が
振り返った君を後ろから照らして
新宿の街に縫い止める
君は根拠のない出鱈目を
わらったまま
半月の切れ目からこぼしつづけるから
私は地面に擦れた靴底の感覚だけを
ただ確かめるために
何度も何度も踏み締める

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