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アリーナオープンでマネーフィニッシュを決めたお話と、ついでにVOW環境考察

0.前説

先日行われたイニストラード・真紅の契りドラフトを使用したアリーナオープンにて、なんとマネーフィニッシュ2000$をキメてしまった。数々の幸運に恵まれての結果と自覚してはいるが、折角の機会なのでnoteに記しておきたいと思う。
筆者にとって、MTG(というかゲームの大会全般)で賞金を獲得するのは生まれてはじめて。紙の公式大会での順位だと、ベスト8の経験が2回ほどある程度で、この間のリミテ神決定戦でもバブルマッチでクソ事故*2を… いや、この話はやめよう。
初賞金と考えなくても結構な金額で、なるほどこれがプロプレイヤーがいつも見ている景色か… とちょっと、いや、かなり感動した。(と同時に、毎回こんなヒリつく思いをして賞金を獲りにいっているのか、と慄然もした)

ちなみにマネーフィニッシュの代価として、朝5時半まで5時間以上ぶっ続けでプレイしたけど私は元気です。
1時間ほど床についてそのまま仕事だったけど元気です。  …元気です。
もうちょっと時間設定なんとかなりませんかね?

ちなみに1日目は、参加2回で権利をゲット。
Draft1:青黒t緑で4-3
https://www.17lands.com/deck/ebf5a6bc8bcb4b7593e36917a8ddaee9
Draft2:白青で7-1
https://www.17lands.com/deck/366e28d8663b42729e0757095b26b020

そして2日目が、青黒t緑で7-2終了。
https://www.17lands.com/deck/5e0df502c4564e6ca236e567cf9d0a84

こんなデッキ

コイツ青ばっかりやってんな、と思われるだろうが、この環境、実は勝てるようになってからはほぼ青しかやっていない。 …そう、勝てるようになってからは。

真っ青

今でこそ勝率は6割を超えたが、実はVOW環境初期、筆者はメタクソに負けまくっていたのだ。そりゃあカード評価があれだけ間違っていれば負けも込むだろうが、それにしても酷かった。ランクはPlatinum4から張り付いたように動かず、勝率5割すら見えてこない有様。
Discordのログにはこんな泣き言が残されている。

あまりに勝てなかったため、過去にちょっとないくらい環境を研究した。結果的にはそれが今回の勝利に繋がったのだろうし、VOWがアリーナ初のドラフトシーズンだったのは逆に幸運だったのかもしれない。

まず研究の足がかりに、17LandでカードのGIH WRを徹底的に調査した。(GIH WR:そのカードをゲーム中に引いた場合の勝率)
2色指標で、コモンとアンコモンを中心に、どのカードが高い、あるいは低いかを調べ、自分の感覚とずれているカードについて、どの色合わせなら数値が出るのか、出ないのか。調べた上でその理由を自分なりに考えていった。

特定のカードが強いか弱いか、というのは17Landを見れば誰でもわかるが、筆者としては、それがどうして強いのか、というところまで考えたほうがいいと思っている。あるカードがなぜ強いのかわかれば、その環境で勝つための要素が見えてくるからだ。
その一つを青は有しており、かつ人気薄だった。だから、筆者は青を握ることが多くなったのである。別に決め打っているわけでも、青が好きだからでもない。ないったらない。

~閑話~
ちなみに筆者はフォーゴトン・レルムの青が別に弱くないと思っているような人種だが、それも全く関係ないよ!
~閑話休題~

それとは別に、こちらは本当に決め打ちの戦略も考えたが、それなりにギャンブル性が高く、そもそも初手付近で流れてこなければ使用できないためアリーナオープンではお蔵入りとなった。一発勝負向けのメソッドではあるので、予選ウィークエンドで使用できるといいな… と思っている。

ともあれ、その甲斐あって、身に余るレベルの結果を残すことができた。もう紙に触れることは殆どなくなってしまったけど、ずっと構築よりリミテッドが好きで、MTGAの登場で好きなだけリミテッドができることに歓喜してプレイを続けたのは無駄じゃなかった。それを今は喜びたい。

さて、自分語りはこのくらいにして、せっかく研究したのだからVOW環境についての所感を述べていこう。

1.VOW環境について

ボム環境ボム環境と揶揄されているが、まごうこと無くボム環境である。ただ、それだけで終わらないのもまた事実。ひとまずボム環境たる所以を書き出してみると、

・通常は1-2枚の、「出してターンが返ってくれば勝ち」級のボムレアが複数枚ある
・なんなら、「出してターンエンドまで行けば勝ち」もある
・比較的コモンのカードパワーが低く、絆魂や軽除去が豊富な故に、ボムを握った側が意図的にロングゲームを選ぶことが容易
・血トークンにより、フラッド回避・ボム探しと、ボム頼りなデッキの欠点がきれいに解消されている

こんなところだろうか。スポイラー段階では白の攻撃性能が騒がれたものの(見てみろよこのクッソ無残な一つ前のNoteをよォ!!)、実際には白絡みのビートダウンは振るわない結果となっている。
ただ、血トークンの恩恵はフラッド回避という意味でビートダウン側にも非常に有益なため、赤絡みのビートダウン、特に銀弾の居ない世界のスピードに付いていけるようになった赤緑狼系のデッキは猛威を振るった。
そして、「血トークンによる恩恵を最大限に受け、かつ供給でき」「除去カラー2色で」「強力なボムレアを多数有する」黒赤が、環境の王者として君臨することになる。脚質も自在で、高速ビートからタッチありのコントロールまで、自分で好きなようにゲームメイクできる。マヤノトップガンか何か?

ここまでが環境の前提で、この構図自体は今でもそこまで崩れていない。そして、ボムに対抗するためのひとつの解答は「ボムが出てくる前に殺す」高速ビートである。
ただ、ボムレアの入手難度がなまじっか低いため、自分もボムを握った上で「ボム環境で負けないための要件」を定義することもまた可能となった。こちらも挙げていこう。

・1-3Tにきちんと動いて、盤面を取る
 ボムレアがいかに強力とはいえ、5マナ以降のものが大半である。ボム側が長期戦志向で序盤の攻防を重視しないのであれば、盤面を取っておくことは比較的容易であり、回避能力などで継続的にダメージを稼げるようになれば理想的。相手から動かざるを得ない状況を作れば、こちらのボムの通りも良くなる。

・ボムに対処できる確除去・カウンター等を3枚ほど用意する
 諸々考えるとインスタントで欲しい(だいたいシャコとデーモンのせい)。もっとも、使用に値する中でソーサリーなのは黒の6除去くらいで、黒で除去がこれしかないというデッキは非常にヤバい(2敗)。ちなみにシガルダの拘束は「ソーサリー速度」「追放まで8マナかかりシステムクリーチャーに対応できていない」「なんなら濫用される」の3重苦。ビート同士の差し合いに使用するならいいが、ここでの確除去札には数えられない。

・フラッド負けを回避するため、血トークンを調達できるようにする
 特にロングゲームで黒赤と相対した場合、相手だけ血トークンで好き放題に土地をスペルに変換されては勝負にならない。黒や赤ならもちろん血トークンが出るカードを使えばいい(タッチするのも有効)が、そうもいかなければナイフを忍ばせておこう。パワーしか上がらないためビートダウン向けにも見えるが、装備コストの重さから、実は回避能力持ち単体で殴るようなデッキが一番運用しやすいカードと考えている。

この3点を意識すれば、ボムレア1枚にいいようにされるケースはグッと減るはず。プレイングも、一時の盤面を確保するために除去を切るのは控え、青系なら6マナに相手が到達次第、詰めろをかけに行く以外の状況では可能な限りカウンターを構えること。それ故に、カウンターに頼ったデッキでの4マナ以上の採用枚数は極力減らすべき、と筆者は考えている。4/3/3飛行は、スペックだけで言えばハチャメチャに強いのだが…。今回は「相手のデッキには必ずボムレアが入っている」と考えるくらいで丁度いいのだ。

…ちなみに『婚礼の発表』くらいならまだしも、『ハラナとアレイナ』は前提が完全無欠なまでに崩壊するのでどうしようもない。あれを通常レアにしたの誰? 骨の髄までですらテンポ取れないんだけど…。

バグビアンのことはさておき、高速ビートを選ぶのでなければ、ピック中、上記の内容は意識しておきたい。また、構えていても裏目は常に有るため、そこまでやられたら諦めよう。「特定のボムレア」にまで対処するのは特にBO1リミテッドでは不可能である。

2.アーキタイプとTier

今環境はアーキタイプが比較的緩めで、アーキデッキと呼べそうなのは、黒緑のケツデカ、白黒のライフゲインくらい。(赤黒血トークンはもはや単なるタダツヨ)
黒緑ケツデカは、『古きもつれ樹』から以外あまりやりたくない特殊デッキ。もつれ樹自体は、基礎スペックが4/4/4なこともあってとても強力なのだが… なんか、ZERの青緑キッカーにおけるドレイクの休息地に似ている。『カタパルトの有象無象』も強力ではあるが、ここから黒緑に行こうとすると多分ろくなことにならない。
白黒は、ライフゲインシナジーだけで勝てるカードが無いため(大半がアドバンテージを稼ぐだけ)、結局着地点としてのボムレアがほしい。

というわけで、今回はアーキに寄せたピックをするよりは、「引けたボムレア」「カード間のシナジー」を重視した上で、自分の目指すゲームメイクに沿ったカードを、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変にピックすることになろうかと思います。

◆Tier表
Tier1:黒赤
Tier2:白青、青黒、青赤、赤緑、緑系ボムクソ多色
Tier3:白黒、白赤、黒緑
人にあらず:白緑、青緑

現時点(2021/12/14)での自分の評価。黒赤は不動の一位、オーバードラフトにだけ注意。
Tier2はボムレアに頼らなくても(もちろんボム多色は除く)、独自の勝ち筋が模索できるライン。できれば強力なアンコ以上から参入したい。
Tier3は、卓の出に左右される印象。白赤はタッチしづらいのが苦しい。
人にあらず? そんな色はないよ。青緑は純正にすること自体が間違いだと思われ、最低でも除去はタッチしよう。
とはいえ総じて、黒赤と白緑以外の色格差はそこまででもなく、空きに入る感覚が普段以上に必要となっていると感じる。つまりこのTier表あまり意味ないな!

3.終わりに

記録としてだけ残すつもりが、結構長々と語ってしまった。ひとまずこのあたりで筆を置きたいと思う。
最後に、現在お世話になっているDiscordサーバーの宣伝をさせていただく。(上の泣き言を書き込んだ所)

リミテッド中心のサーバーで、ミシックナンバー持ちが何人もいらっしゃいます。ここの方々の知恵や知識がなければ、今回の結果は間違いなく得られなかったでしょう。参加者は300人以上で、しょっちゅう配信やら何やら行われています。どなたでもお気軽にどうぞ。


それでは皆様、願わくば土地事故など起こされませんように。

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