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毒にも薬にもならないシリーズ

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日々の生活の中で、心動かされたこと、感じたことをまとめます。
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#コミュニケーション

あなごのしっぽ

事務所の外で打ち合わせをして、回転寿司で一人、少し遅めのランチを食べることにした。見た目は回転寿司だけど、お寿司は回っておらず(コロナからかな)、値段もちょっと高級である。昼はランチセットがあった。 やっぱりお寿司は美味しいなぁと、エイヤと頼んだ上から2番目にお高いランチセットを食べていると、近くの席に70代後半から80代の、上品な雰囲気のマダム2人が座った。 マダムのうち一人が席につくなり、中で寿司を握る職人に言う。 「私ね、アナゴの尻尾が食べたいのよ」 職人は明ら

じゃんけんしてる?

とてもとても暑い日、小脇にバインダーを挟みつつ、作業道具と思われる大きな荷物を抱えた作業着姿の男女が前から歩いてきた。二人とも30代前半という感じ。 もうすぐ訪問先に到着するのか、突然2人は立ち止まった。 そして…、真剣な、じゃんけん3回勝負が始まった。 女性が負け、「仕方ないか~」という表情。男性は小さくガッツポーズ。 大人がじゃんけんをするところをあまり見ない。 子どものころは、なんでもじゃんけんで決めていたのに。 何をかけた勝負だったんだろう。 昼ごはんかな(

蜘蛛のキーホルダー

リクルートスーツのような、地味な黒スーツに白いシャツの若い女性が目の前を横切ったとき、彼女の持つ黒い鞄の端っこに揺れる、超リアルな蜘蛛の形のキーホルダーが目に入った。 それから目が離せなくなり、私の妄想が止まらなくなった。 彼女はパンクなバンドでギターかベースを弾いているに違いない(妄想が単純)。 面接だからやむなくこんな格好をせざるを得ず、面接官に向かってにっこり微笑みながら「そうです、そうです」とか言い、頷いたりしているが、心の中で「その質問、意味ある?」とちょっと