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槇原敬之の世界を短編小説に

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槇原敬之さんが大好き過ぎて、歌の世界観を短編小説にしてみました。曲タイトルが短編タイトルになっています🍀*゜
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2022年1月の記事一覧

プロローグ

「ねぇねぇおじさん、カモメとウミネコの違いって知ってる?」 ここは海の見える国道沿いの小さなCafe。毎年夏には賑わう割りと名の知れた海水浴場が近くにある。季節外れの海の家のような佇まいでその小さなCafeは年中無休である。 ただ国道沿いで、大型トラックの通りも激しいがこのCafeにはあいにく駐車場が2台しかない。しかも駐車場には店主の車がいつも幅をきかせているため、この店の店主は本気で集客する気があるのか?と、近所の専らの噂である。 そのCafeの名前は『SALON

#北風

海から流れてくる汐風は地元のいわゆる浜風とは違う印象を与える。夏は比較的穏やかだったその風が針のように顔面を突き刺す季節となってきたようだ。 この街に来てからすでに8ヵ月が経過していることに気付く。大学までのあまり遠くない道を国道沿いに真っ直ぐ進む。思えば1年前の今頃は受験勉強に必死で、こういう季節の変化には疎かった。というか、それまでも季節の変化に対してそこまで気にしたことはなかった人生を俺は送ってきた。 「おはよう。今日は早いじゃないの。朝から講義?」 長身のヒ